エターナル・フロンティア~前編~

「えっ! む、無理よ」

 急に話を振られ、オドオドしながら友人達の顔を見ていく。一方、友人達はイリアの気持ちを察していないのだろう、何度も「頑張れ」や「期待している」という言葉を続けていった。

 勿論、イリアも頑張り結果を残したいと考えているが、能力研究に関しては素人そのもの。下手したら、他の科学者の足手まといになってしまう。それを知らない友人達は、気楽に話を進める。

 これは、嫉妬の裏返しか。表面上イリアが研究所勤めを喜んでいるが、言葉の端々に刺が含まれているのが何よりの証拠。彼女達は例の二人を否定しているが、内面の部分では一緒。

 本人が否定しようが、全く同じといっていい。要は、自身が気付いていないということだ。

 聖人君子は、存在しない。

 誰もが心の中に闇を抱え、生きているのだから。

 イリアが彼女達の心情に気付こうが、それを口に出して否定し罵倒するということはしない。

 同じように、闇を抱いているから。

 それに「頑張れ」という言葉は、イリアも思っている。現に、ソラの為に頑張ろうと考えていたからだ。

 倒れていたソラを目撃している。

 それも、血を吐き出して。

 脳裏に蘇る、悲惨な光景。

 瞬間、身体が震えた。

「イリア?」

「どうしたの?」

「な、何でもないわ」

 流石に、自身が抱えている悩みを打ち明けるわけにはいかない。それにソラが置かれている状況を思うと、口が裂けても言ってはいけなかった。言った瞬間、下手したら外を歩けない。

 イリアは、ソラに世話になっている。また、好意を抱いていた。それにより、彼を守ると決意する。

 しかし、運命は悪い方向へ転ぶ。

 まさに、運命の悪戯。

 何の前触れも無く、幼馴染の話題を振られたのだ。

 今までの会話の中に、ソラは登場していない。だというのに、話は徐々におかしな方向へ流れていく。
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