エターナル・フロンティア~前編~
悪質なウィルスに、一斉に感染したと表現するべきか。一瞬にして「力持つものは悪」と認識し、攻撃の対象と化す。勿論、彼等が一般の人間にどうこうしたわけでなく、一方的な差別だ。
だからといって、大声で否定はしない。
そう、イリアは――
過去、力を持つ者を恐怖の対象と見ていた。差別とまではいかないが、無意識に距離を取っていたのは間違いない。
自身の過去を思うと、強く否定できない。
それが歯痒く、情けない。
イリアは持っていたカバンから携帯電話を取り出すと、今までソラとやり取りしていたメールを一通ずつ黙読していく。
互いに愚痴を言い合うメールや、相談の回答のメール。
また、約束事。その一通一通を微笑を浮かべながら、見ていく。
すると次の瞬間、表情が変化した。
懐かしい内容。
心に、温かい物が広がっていく。
それは、先程のメール。
18時に会える。
短い文章だが、何度見てもいい。
早く、18時にならないか。
イリアは、携帯電話の画面に表示されている時計を見る。だが、時間が簡単に進むことはない。
一分の経過が長い。
普段、時間の経過が早いと思う。
しかし、今は違う。
同じ一分で、何故これほど違うのか。
いい出来事は早く時間が経過し、悪い出来事は時間の経過が遅い。もどかしさが募り、胸が痛い。
その時、別の意味で胸が痛む。
何と、携帯電話が鳴ったのだ。
音に驚き落としそうになってしまうが、何とか落下を免れる。慌てて、発信者を確かめる。
見知らぬ番号が、表示されている。
それは、登録している番号ではない。
間違えて電話を掛けたのか、それとも意図的か。イリアは首を傾げ、暫く画面を見続ける。