エターナル・フロンティア~前編~

 悪質なウィルスに、一斉に感染したと表現するべきか。一瞬にして「力持つものは悪」と認識し、攻撃の対象と化す。勿論、彼等が一般の人間にどうこうしたわけでなく、一方的な差別だ。

 だからといって、大声で否定はしない。

 そう、イリアは――

 過去、力を持つ者を恐怖の対象と見ていた。差別とまではいかないが、無意識に距離を取っていたのは間違いない。

 自身の過去を思うと、強く否定できない。

 それが歯痒く、情けない。

 イリアは持っていたカバンから携帯電話を取り出すと、今までソラとやり取りしていたメールを一通ずつ黙読していく。

 互いに愚痴を言い合うメールや、相談の回答のメール。

 また、約束事。その一通一通を微笑を浮かべながら、見ていく。

 すると次の瞬間、表情が変化した。

 懐かしい内容。

 心に、温かい物が広がっていく。

 それは、先程のメール。

 18時に会える。

 短い文章だが、何度見てもいい。

 早く、18時にならないか。

 イリアは、携帯電話の画面に表示されている時計を見る。だが、時間が簡単に進むことはない。

 一分の経過が長い。

 普段、時間の経過が早いと思う。

 しかし、今は違う。

 同じ一分で、何故これほど違うのか。

 いい出来事は早く時間が経過し、悪い出来事は時間の経過が遅い。もどかしさが募り、胸が痛い。

 その時、別の意味で胸が痛む。

 何と、携帯電話が鳴ったのだ。

 音に驚き落としそうになってしまうが、何とか落下を免れる。慌てて、発信者を確かめる。

 見知らぬ番号が、表示されている。

 それは、登録している番号ではない。

 間違えて電話を掛けたのか、それとも意図的か。イリアは首を傾げ、暫く画面を見続ける。
< 371 / 580 >

この作品をシェア

pagetop