エターナル・フロンティア~前編~

 すると、着信音が止まった。

 この時代、一人の人間が複数の携帯電話を持つ時代。必然的に、番号の掛け間違えは増えてしまう。現に過去に何度も、掛け間違いを経験しているので、真剣に受け止めることはしない。

 何事もなかったように、携帯電話を仕舞う。

 その後、暫く散歩をすることにした。

 ブラブラと、歩く。

 特に、目的はない。

 要は、時間潰しだった。

 ある程度時間を潰したら、友人達のもとへ戻ってもいい。そして会話に加わってもいいが、気分が乗らないが正直な感想。今は、静かに過ごしたい。一人でゆっくりと過ごす時間は、アカデミー時代殆んど無いに等しかったからだ。それだけ、勉学と研究に勤しんでいた。

 忙しい反面、充実していた。

 要は、勉強と研究は趣味の一種に近い。

 その時はいい。

 楽しいのだから。

 現在手に入れた、静かな時間。イリアは満喫したいと思うが、本当の意味で満喫ができない。

 何かが引っ掛かる。

 勿論、理由はわかっている。

 卒業後の就職先が、全ての原因だ。

 ソラは、それを知らない。知らないが、その道の研究をしたいというのは、了承していた。

 なら、何と――

 大きい溜息が出る。

 だが、真相を聞かないわけにはいかない。

 二人は幼馴染同士で、長く付き合っている。

 それに今まで、何でも話してきた。

 隠すわけにはいかない。相手は、勘がいい部分を持っている。顔色で心の中を見抜き、言葉に出す。

 優しい言葉。

 痛い言葉。

 複雑な背景を持つソラの言葉は重い。

(でも……)

 逃げるわけにはいかない。
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