エターナル・フロンティア~前編~
「そうかな。意識していないけど。それより、よくこの場所がわかったね。心配だったんだ」
「お気に入りの場所だもの」
「……そうだった」
彼自身、イリアと同等の感覚で、この場所を訪れた。内心「大丈夫か」という思いが強く、イリアの姿を見るまで心臓が激しく鼓動し、口から飛び出る勢いだった。しかし目の前に現れた瞬間、全身から力が抜け安心したという。それだけ、緊張感と不安感が入り混じっていた。
「座る?」
「……うん」
いくら通行人が少ない時間帯とはいえ、人の目がないわけでもない。このような場所でソラと宜しくやっていると、何を言われるかわかったものではない。それでもソラはイリアの手首を握ると、所々に設置されているベンチに腰掛け話の続きを行おうと提案してくる。
勿論、イリアが断るわけがない。
彼女は嬉しそうに微笑み、ベンチに腰掛ける。しかし何を思ったのか、すぐに腰を上げた。
「うん?」
「飲み物を買ってくるわ」
「あっ! 有難う」
「行ってくるね」
ソラと会えたことが余程精神的な安らぎを齎したのだろう、全身で嬉しさを表し涙が止まっていた。いつもの雰囲気を取り戻した幼馴染に、ソラは慈愛に似た表情を浮かべつつ、暫く彼女が走って行った方向に視線を向けていた。やはり、イリアは笑顔が似合う。逆に悲しい表情は、心が痛む。
自身が辛い状況に置かれているので、周囲は明るく接してほしい。我儘の自己満足の一種に等しいが、ソラの周囲にいる味方達は彼の心情と世間の体質を把握しているので、言葉が愚痴に変化することはない。
自分達ができる、精一杯の努力。
また、最善の方法。
勿論、ソラも彼等の好意にドップリと浸ることはしない。彼は自身を否定している世間に混じり、生きていく方法を選択した。一部の人間だけがソラの正体を知っているので、直接的被害は少ない。
だが、間接的な言葉は容赦ない。
彼等は近くに力を持つ者がいるとは、予想もしていない。だからこそ、非情な言葉を言っていく。