エターナル・フロンティア~前編~
彼の本質は、感情が乏しい人間。
日々他人に見せているのは、偽りの表情。
無論、過去は違う。
ユアンは一定の歩調で、風呂へ行く。
熱いシャワーを浴びつつ、自身の過去を思い出す。
今も鮮明に蘇る光景。
同時にチクっと胸が痛み、毒付く。
それだけ彼にとって、トラウマに等しかった。
◇◆◇◆◇◆
ユアンの両親は、早くに亡くなっている。その為、彼が暮らしていた場所は孤児院だった。
様々な年代の子供が暮らし、共に学び共に暮らしていた。
記憶として残っているのは、5歳くらいから。
しかし仲のいい友人の顔を覚えているのは、ごく僅かであった。だが、思い出すと懐かしい。
人間は楽しい記憶を多く覚えているというが、ユアンの場合は違う。どちらかといえば、哀しい記憶の方が多い。
「何処へ行くの?」
仲のいい友人に、言葉を掛ける。
相手は、5歳の男の子。物静かで、大人しいイメージの子。
言葉を発するのは少なかったが、ユアンと話が合い共に将来の夢を語り合った。そして、馬鹿馬鹿しい話に夢中になった。
その人物が、何処かに行く。
ユアンは、必死に聞き出そうとした。
「新しい親のところ」
「決まったの?」
「うん」
「どんな親?」
「優しいと聞いているよ」
「そうなんだ」
友人の言葉に、ユアンは俯いてしまう。彼にとって友人と離れるのは寂しい。しかし、同時に新しい親のもとへ行って幸せに暮らしてほしいという思いもある。また、羨ましいという感情がないわけでもない。両親の愛情を知らないユアンは、無意識に愛情を求めていた。