エターナル・フロンティア~前編~
(……院長先生)
どうして、このような笑い方ができるのか。
信じられない院長の姿に、何度も別人を言い聞かせる。しかし、目の前にいるのは間違いなく院長。
複雑に絡み合う大人の裏事情を知らないユアンにとって、受け入れられない事実でもあった。
だが、好奇心が擽られる。
その為、見続けていた。
その間も、二人の会話が続く。
すると男が、テーブルに書類を並べていく。院長にサインを求めているのか、続いてペンを取り出す。
男の態度に、一瞬院長が躊躇う。
渋々の中、自分の名前を書いていく。
「有難うございます」
「シッカリしているな」
「それは、お互い様です」
「で、入金は?」
「いつもの口座に」
男の言葉を受け取った院長は、満足そうに頷く。一方の男は、不適な笑みを浮かべつつ書類を片付けていく。
そして口を開き、言葉を出そうとする。
しかし、出す前に止まった。
「どうしました」
「いや、何も」
言葉ではそのように言っているが、男はユアンの存在に気付いていた。当初は気にしていない素振りを見せていたが、これから先は誰かが聞いていい内容ではないので、無言の圧力を掛けた。
勿論、ユアンはそれを感じ取った。
慌てて窓から立ち去るが、途中で転んでしまうが、痛みをどうこう気にしている余裕はなく、全速力で駆けた。
「ユアン、見付けた」
「えっ!?」
孤児院仲間の言葉に、ユアンは間の抜けた声を出す。彼は忘れてしまっていたが、かくれんぼの真っ最中であった。そのことをスッカリ忘れ、外に飛び出してしまった。ユアンは自分が置かれた状況を把握した瞬間、苦笑いを浮かべると、忘れてしまっていたことを誤魔化した。