エターナル・フロンティア~前編~

「じゃあ、他の人を捜してくる。ユアンは、この場所で待っている。逃げるのは、反則だよ」

「う、うん」

 ユアンの返事を聞いた少年は、歯を見せて笑う。そして片手を上げヒラヒラと振り、他の友達を捜しに行く。

 一人になったユアン。

 無意識に、建物の方向に視線を向ける。

 何を話していたのか。

 しかし、今となっては何もわからない。

 友人との約束があるので、この場から離れることはできない。それに再び行ったら、何をされるかわかったものではない。漂う雰囲気でユアンは「あの場所が危険」と、わかっていたからだ。

 だが――

 気になってしまう。

 その時、一人の少年がやって来る。

 彼は、先程の人物ではない。どうやら、隠れているところを見付かってしまったのだろう。

 ユアンの顔を見た瞬間、満面の笑みを浮かべた。

「おっ! 早い」

「まあ……ね」

「僕は、二番だ」

「順番って、関係あるの?」

「勿論、一番って恥ずかしい。ユアンって、隠れるのが下手なんだね。一番上手いと思ったよ」

「いいじゃないか」

 少年の言葉に、ユアンはムスっと頬を膨らます。人間なのだから、得意不得意があるもの。ユアンは両腰に手を当てると、少年の前で仁王立ち。そして、低音の声音で説教していく。

「冗談だよ」

「冗談に聞こえないよ」

「わー! ユアンが怒った」

「怒っていないもん」

 ユアンは大声を出すと両手を上げ、少年を追い駆ける。突然はじまった追いかけっこに隠れていた者達が驚き、飛び出してくる。しかし、それにより全員が見付かってしまった。勿論、二人に文句が行く。だが駆け回っている二人の耳に、彼等の文句が届くことはなかった。
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