エターナル・フロンティア~前編~

 暫く、追いかけっこが続く。

 しかし途中で息が上がったのか、二人の足が止まった。それを見計らったかのように、友人達が文句を言う。

「真面目にやる」

「ご、御免」

「じゃあ、罰として次はユアンが捜す」

「えっ!?」

「罰ったら、罰だよ」

「……わかったよ」

 複数からの集中砲火に、ユアンは渋々折れる。追い駆ける人が決まれば、再びかくれんぼうの再開だ。

 ユアンは両手で目を塞ぐと、数を数えていく。それに合わせるかのように、友人達が逃げていく。

 その時、院長の声が響く。

 突然の院長の声に全員が立ち止まり、声が聞こえた方向に視線を向ける。そして一人の少年が「何ですか」と、言った。

「此方に来て欲しい」

 何か、悪いことを言われるのか。

 互いの顔を見合うと、行くのを躊躇う。

 しかし、相手は院長。

 行かないわけにはいかない。

「何ですか」

 院長が顔を出している窓の下に行くと、恐る恐る尋ねる。全員が、院長に怒られると思っていた。

 その為身構え、相手からの言葉を待つ。

「どうした、一体」

「僕達は、何もしていません」

「掃除も、真面目にやっています」

「庭の草むしりもしました」

「何を言っている」

 子供達の意味不明の言葉の数々に、院長は困った表情を浮かべる。そして再度、何が言いたいのか聞く。

 その態度に子供達は互いの顔を見合わせると、院長が怒っていないことを知る。そのことに、全員がホッと胸を撫で下ろす。彼等は院長が本気で怒ったらどうなるか、知っているからだ。それにより一部の子供が、大声で泣き出してしまう。それだけ、怖かったからだ。
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