エターナル・フロンティア~前編~

「ああ、泣かないで欲しい」

 子供達が泣き出したことに、院長は動揺を隠せない。懸命に泣き止むように、何度も優しい言葉を掛けていく。

 すると子供達の泣き声に不信感を抱いたのか、院長と話していた男が顔を覗かせ、どうしたのか尋ねる。

「何やら、勘違いしたようだ」

「それは、困りましたね」

「院長先生、誰ですか?」

 男の突然の登場に、今度は子供達が動揺してしまう。勿論、ユアン同様に子供達も見たことのない人物。それに本能的に察していたのだろう、男が発している不可思議なオーラを。

 その為、泣いていた子供が泣き止む。そして一番年上の子供の背中に隠れ、顔だけ覗かせていた。

「私も、嫌われました」

「すみません」

「いえ、顔付きが悪いのです。昔から、小さい子供に怖がられてしまいますので。ですから、慣れています」

 しかし、誰一人として笑うことはしない。互いの顔を見合い、どのように反応していいか迷う。

 暫く、沈黙が続く。

 すると、男が口を開いた。

「私がいない方が、話が進むようだ」

「し、失礼しました」

 男の態度に、院長は軽く頭を垂れる。

 そして視線を子供達に向けると、明日の予定について話していく。この孤児院には定期的に、養子を捜しに夫婦がやって来る。そして明日、三十代後半の夫婦が養子を捜しに来るという。

 その説明に一部の子供は素直に喜ぶが、微妙な表情を浮かべている子供もいる。そう、仲間達と離れたくないからだ。

 折角、知り合った仲間。

 毎日、遊ぶのが楽しい。

 しかし、親も欲しい。

 いい部分と悪い部分が混じり合い、小さい子供の心を押し潰す。だが、望まれて行くのはいいことだ。新しい親のもとへ行けば、孤児院の生活以上の豊かな生活を送ることができるからだ。それを考えている子供は手を挙げ、その場で跳躍し自分が選ばれたいと言った。
< 389 / 580 >

この作品をシェア

pagetop