エターナル・フロンティア~前編~

 なんだかんだで、この場所は居心地がいい。贅沢を我慢すれば、楽しい毎日を過ごせるからだ。

 ユアンは、思っていることと逆の内容を言葉に出す。院長に迷惑を掛けたくないという、子供なりの心遣いだった。

 それを聞いた院長が、食い付く。

 今まで明確に「親のもとへ行きたい」と言わなかったユアンが、自己主張をしたのだから。

「会うか?」

「僕は……」

「医者は、嫌いか」

 渋い表情を浮かべているユアンに、院長は別の相手がいないか、ソファーに腰掛休んでいる男に尋ねる。

「そうですね……父親が科学者というのは、どうでしょうか。リダードさんもご存知の方です」

「ああ、あの夫婦か」

 リダードと呼ばれた院長は、医者が駄目なら科学者はどうか聞く。そしてこの夫婦の特に母親は、いい人物だと説明する。それを聞いたユアンの心はざわめき、先程以上に悩んでしまう。

「考えておきます」

「そうか。それは喜ばしい」

 リダードはそのように言っているが、半分以上決定しているといって過言ではない。彼にしてみれば、新しい親のもとに行って、子供が幸せになってほしい。だからこそ、勝手に話を進める気満々だった。

 ふと、今のやり取りを聞いていた子供達は、質問を投げ掛けてくる。彼等の年齢は、10歳前後。これが自分の一生に関わる問題だと理解しているので、表情は真剣そのものだった。

「ユアン、行くの?」

「何だか、皆いっちゃう」

「ねえ、医者はどうするの? ユアンは、科学者の方に行くかもしれないから。俺は嫌だ……」

「相談だ」

「うん。相談」

 そう言うと、子供達はユアンを引っ張り遊んでいた場所へ戻る。突然の出来事に、ユアンの悲鳴が響く。そんな子供達の行動に、リダードはクスクスと笑っていた。しかし瞬時に表情を変えると、踵を返し男の方向に視線を向ける。そして、先程の話の続きをしていった。
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