エターナル・フロンティア~前編~
勿論、子供達の耳にその内容が届くことはない。
◇◆◇◆◇◆
友人達との相談を終え、ユアンは自室へ戻って行く。どれくらいの時間、話し合っていたのか。肉体と精神の両方が疲弊し、ヘトヘト状態だった。それだけ、重い内容は含まれている。
(僕は……)
確かに、友人達との別れは辛い。しかし「科学者」という職業に興味がないわけでもない。ユアンが持つ学力は、孤児院の中で一番。大人達も褒めるほど、天才的な少年であった。
その為、学力が高い学校に通わせ多くの知識を吸収して欲しいと孤児院の関係者は思っているが、いかんせん経営がいい方ではない。その為ユアンは、個人的に勉強を行うしかなかった。
しかし今回、この話が舞い込んだ。
勿論、興味がないわけがない。
よって、選択した。
「行く」と――
(そうだよ。勉強したい。多くの知識を得たい。勉強は面白いし、楽しいし。もっと、知りたい)
友人と好奇心を天秤にかけた場合、好奇心の方に傾く。勿論友人達に悪いという気持ちがないわけでもないが、やはり好奇心の方を優先してしまう。だからこそ、選択をしたのだった。
自室へ戻る途中、院長のリダードの部屋の前を通った。その時、室内からもれてきた声が耳に届く。
(まだ、話している)
無意識のうちに、足が止まる。先程の時もそうであったが、どうしても話の内容が気になる。その為、聞き耳を立てた。
「そんなに、欲しているのか」
「だからこそ、仲介業が成り立っているのです。需要がなければ、このような職は廃れています」
「……確かに」
空気と一緒に言葉を外に出すと、リダードは部屋の隅に置かれたコーヒーメーカーの前に行く。リダードにとってコーヒーは嗜好品というより、薬の一種に近かった。毎日大量のコーヒーを飲まないと、気分が落ち着かないという。その為、コーヒーメーカーを部屋に置いてあった。