エターナル・フロンティア~前編~
「何をしている」
「す、すみません」
リダードの言葉に、ユアンは何度も謝っていく。謝って物事がいい方向に行くとは思っていないが、今は謝るしかない。その為「御免なさい」という言葉が何度も、二人の耳に届いていた。
「どうして、このようなことをしたのかね。私は君達に、このようなことを教えた覚えはない」
鋭い言葉と指摘に、ユアンは黙ってしまう。ただ身を小さくし、リダードの圧力に耐えていく。
「何故、言わない」
リダードが言うように、素直に立ち聞きしていた理由を言うべきなのだが「好奇心で聞いていた」と、言い難い。それにそのように言ったら、どのような反応が待っているか予想できた。
その為、沈黙を続ける。
強情なユアンの態度に、リダードはやれやれと肩を竦めると、更に説教をしようと口を開く。
しかし、それを遮るようにラビルの声が響く。そして、立ち聞きくらい許してやろうと言う。
「ですが――」
「子供相手にムキになるのは、大人気ない」
「発見したのは、貴方です」
「確かにそうですが、考えた方がいい。そういうことだから、君は早く部屋に戻った方がいい」
ラビルの優しい言葉に、ユアンの顔が一気に明るく染まる。そして嬉しそうに微笑むと、頭を下げ礼を言う。その後、駆け足で自室へ戻っていく。そんな後姿にラビルは、クスっと笑った。
「何故」
「少しは、頭を動かしてください。子供を頭ごなしに怒っては、逆に不信感を生み出します」
「なら、そのままにしておけば……」
「邪魔ですから。ですので、追い払っただけです。できるだけ、大事にならないようにです」
それを聞いたリダードは、逆らってはいけないと学習する。年齢は、相手の方が下。しかし考え方や弁論、それに立ち振る舞いはラビルの方が遥かに上であった。ユアンを追い払ったラビルはソファーに腰掛けると、残っていたコーヒーを全て流し込む。そして、二杯目を要求した。