エターナル・フロンティア~前編~
そして、暫く眠りにつく。
◇◆◇◆◇◆
耳に響くシャワーの音で、意識が現実に引き戻される。ユアンは目を開くと、大きく溜息をつく。
鮮明に蘇った記憶は、心を抉る。
また、毒付く。
今、孤児院の仲間達は何をしているのか。連絡を取り合おうと言った友人とは、連絡は途切れている。
そもそも、この約束はいい加減だった。その為、別れたその年に連絡が切れた。風の噂で、元気に暮らしているという。家族を得て子供がいるらしいが、そこまで詳しくはわからない。
しかし、元気でやっているのならそれでいい。ユアンはシャワーを止めると同時に、口許を緩めた。
シャワー室から出ると、白いタオルで水分を拭いていく。そして何気なく、鏡に映った自身の顔を見る。
あれから、何年経過したか――
年月の経過は、ユアンを大きく変えた。
純粋無垢の少年はどす黒く変化し、人間の肉体を切り刻む。
それは快楽によって行うのではなく、好奇心そのもの。この点は、昔と変わっていない。その為、一部の人間が悲劇を受ける。
今と昔の差に、肩を震わせ笑う。
しかし、長く続かない。
彼は脱いだバスローブを着ると、寝室へ足を進める。肉体関係を結んだ女は、まだベッドで寝ている。
別に、彼女が起きていることを期待していたわけではない。逆に、寝ていることが嬉しかった。
薬がいい具合に効いている。
それが、ハッキリしたからだ。
ユアンはベッドの端に腰掛けると、女の髪を掬う。其処に、深い愛情が含まれてはいない。
それは、何気ない行動。そして、薬の効果を確かめるだけであった。規則正しい寝息をたてている女に、ユアンはもう少し薬の量を増やしてもいいのではないかと思う。無意識に、頭の中で薬に使う薬品の名前が浮かび、公式を組み立てていく。それが堪らなく、面白かった。