エターナル・フロンティア~前編~
彼にとって、薬の発明は趣味に近い。力を持つ者が使用し投与されている薬の大半を作っているほど、様々な薬を作っている。
それは、快楽を求める為に作っているといって過言ではない。
男にとって女を抱くのが快楽の一種と思われているが、ユアンはその概念が当て嵌まらない。
女を抱くのは遊びで、快楽を得る為ではない。その為、何の躊躇いもなく腹の子供を殺す。
一体、何人殺したか。
彼は、人数を覚えていない。
それだけの人数を殺していた。
その時、髪を梳いていた手が止まる。サイドテーブルの上に置かれていた、小型パソコンに目がいったからだ。
このパソコンは、仕事に使用している物。そして中に納められている内容は、重要な研究データ。
その瞬間、ユアンの口許が緩む。
ふと、自身の父親を思い出す。勿論、血の繋がっていない義理の父親。科学者の職に就く、天才的な男。現在ユアンが行っている能力研究を行っていた人物で、今この世にはいない。
(全ては、貴方が悪い)
ユアンの過去を変えたのは、その父親。
勿論、悪い意味で。
脳裏に父親の顔が過ぎった瞬間、再びユアンの思考が過去へ飛ぶ。血塗られた思い出と共に――
◇◆◇◆◇◆
孤児院の院長リダードに言い、ユアンは新しい両親のもとへ行く。これで幸福な人生を歩め、もっと高度な勉強ができると思っていた。しかし、その思いは無残にも打ち砕かれる。
両親、特に義父の本性を知ったからだ。同時に、リダードが裏で何を行っていたのか知る。義父は、我が子を捜していたのではない。己の研究を証明する為の、人体実験用の人間を欲していた。
待ち受けていたのは、実験の日々。ユアンの幼い身体に突き刺さり、肉体を痛めつけ精神を壊していく。目的は、人工的に能力者(ラタトクス)を作り出すこと。理論上、それは可能であった。しかしそれはデータ上の話なので、何度も失敗を繰り返す。だが、実験が止まることはない。