エターナル・フロンティア~前編~

 それどころか、更に危ない計画が練られていく。

 心が歪む。

 それは、このようなことを言うのか。

 ユアンは自身の身体を両腕で抱き締めると、徐々に表情まで歪んでいく。そして、肩を震わせ笑った。自分の身の安全を図らないといけない。それにこれは、正当防衛のようなものだ。だからこそ、義父を――

 次の瞬間、部屋に絶叫が響いた。




 計画は、ある意味で順調だった。ユアンは学校に通わせてもらい、貪欲に知識を吸収していった。

 学校の件に関し、義父は異論を唱えることはしない。何より、近所で養子を貰ったことが広まっていたからだ。義父は「実験道具」という理由で、孤児院に大金を支払い引き取った。

 しかし、近所の人々は真実を知らない。彼等は、子供が産まれない家族が養子を貰った――として見ていた。

 真実を隠す場合、外堀を何とかしないといけない。だから、義父はユアンの頼みごとを聞き入れた。

 ユアンの計画も知らず。

 将来の夢は、義父と同じ。

 此方も真実を知られない為に純粋無垢の子供を演じ、元気いっぱいに夢を近所の住人に語っていく。

「凄いね」

「頑張ります」

「ユアン君は、頭がいいから大丈夫よ」

「僕は、まだまです」

「あら、可愛い」

 ユアンの言葉に、義母を含め午後のお茶会に集まっている四十代前半のおばさんたちが一斉に笑う。義父や近所の住人。それに義母も、ユアンが裏で計画している内容に気付いていない。

 彼は勉学の知識以外に、世渡りの仕方も学習した。大人達は、真面目で物分りがいい子供を尊ぶ。

 また一生懸命に頑張っていることを言葉と態度で示せば、何の疑いもなく受け入れてしまう。我儘を言わず、学校に通わせてくれることに感謝し、いい成績を出す。血の繋がった我が子でもそれを行うのが難しいというのに、ユアンはそれらを簡単にこなす。大人達にしてみれば、憧れの存在だった。
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