エターナル・フロンティア~前編~
「いい子ね」
「ええ、私達には勿体無いわ」
「うちの子に、見習わせないわ」
「本当ね」
誰もが、いい意見を言っていく。疑いという言葉は、存在していない。それだけ、完璧だった。
所詮、人間は外見しか見ていない。内面が大切と言う者もいるが、そのような人物も外見を重視してしまうものだ。誰もが見た目と、その者が持っている世間的地位を重視していく。
実にわかり易い。
ユアンは、心の中で笑う。
孤児院にいた時、これほど世間体を考えたことはない。それは、孤児院という狭い世界で暮らしていたからだ。しかし外に出た瞬間、人間が持つ負の一面を一気に体験することになった。
学校の友達も、悩みを持っている。内容は他愛もないものが多いが、彼等にしてみれば真剣だった。
成績が上がらない。
親に怒られた。
先生が気に入らない。
勉強が難しい。
実に学生らしい悩みだが、ユアンが抱えている問題に比べれば大したことはない。彼は、命の危機に瀕している。それを考えれば普通に生活を送れる時点で、感謝しないといけない。
だが、彼等はグチグチと不満を言っていく。自分達が、恵まれた生活を送っていることを知らず。
「真面目で、疲れない?」
「いえ、そんなことは――」
「たまには、楽をしていいのよ」
「そうでしょうか」
「ええ、そうよ」
おばさん達の言葉に、困った表情を浮かべる。勿論、これも演出のひとつ。たまにこういう部分を見せないと怪しまれるからだ。
そしてもうひとつ、演じていく。素直に、大人の意見を聞き入れるであった。ユアンは大きく頷くと、たまに勉強を休み友達のもとへ遊びに行くという。それを聞いた義母は、嬉しそうに微笑む。彼女は、毎日のように必死に勉強しているユアンの身体を心配していた。