エターナル・フロンティア~前編~
「いいわよ」
「有難う」
言葉に続き、笑顔を忘れない。この歳で大人の扱いに慣れているユアンは、実に末恐ろしい。しかし切っ掛けを生み出したのは、その大人。その為、徹底的に大人達を騙していった。
「じゃあ、行くね」
「はい。いってらっしゃい。遅くなる前に、帰ってくるのよ。美味しい食事を作って、待っているわ」
「うん」
軽く返事を返すと、井戸端会議を続けているおばさん達へ挨拶をする。細かい部分での気配りは、印象を更に良くしていく。それを熟知しているユアンは、手を抜くことはしなかった。
扉を開け部屋から出た瞬間、先程の表情が一変する。一瞬にして悪魔が乗り移ってしまったのか、口許が怪しく歪む。
彼は、義母との約束を守るつもりはない。今から新しい知識を吸収に、国営の図書館に行く。
確かに、学校の勉強は大事だ。だが、多方面から知識を吸収していかないと、偏りを生み出してしまう。凝り固まった脳味噌では、正しい判断を出すことができない。それは、学校の先生を見てわかった。
また、己の地位に固執してもいけない。此方もまた、先生を見て学習する。彼等は、指導者。
人間という一面も持っているので、感情を露にすることも多い。しかし一部は間違った放出方法を取ってしまい、己の思い通りに子供達を動かそうとする。気に入らない先生はいる。
だが、気に入らないという理由で命を奪おうとは思わない。要は、それまで値しないのだ。
勝手に自滅する。
ユアンは本能的に、悟っていた。
クスクスと笑うと、図書館に向かう準備をしていく。
自宅から図書館まで距離があるので、公共の乗り物を使用しないといけない。ユアンはポケットに財布を詰め込むと、玄関から飛び出す。
向かったのは駅。彼は改札口で公共の乗り物全般で使用できるカードを使うと、中へ入っていく。そして、電車がホームに入ってくるのを待った。
都会は田舎と違い、鉄道の電車の本数が多い。その為数分ホームで待っていると、滑るように電車が入ってきた。扉が開き、中に入る。と同時に車両全体に視線を向け、空いている席を探すが生憎何処も開いていない。