エターナル・フロンティア~前編~

 駅は、二つ目。

 ユアンは場所を確かめると、ホームへ行き電車を待つ。その後電車に乗り、目的地へ向かう。

 これは、些細な行為のひとつ。しかしこれにより運命が交錯するとは、この時のユアンは気付いていない。

 それは蜘蛛の糸のように絡み付き縛り付けていき、逃れることのできない定めを用意した。

 そして――

 この人物と義父の間で、複雑に揺れ動く。

 結果、血生臭い歴史が誕生した。


◇◆◇◆◇◆


 あの時の出来事は、懐かしくいい思い出のひとつだ。

 学生証明書を落とした人物の名前は、カルロス・グライエム。現在、能力研究を行なっている科学者の一人で、ユアンの部下だった。

 出会った当初は、立場は相手の方が上。しかし能力の差は歴然とし、現在立場は逆転している。と言って、相手が文句や愚痴を言うことはない。それどころか、過去の思い出を語る仲となっていた。

 ユアンはサイドテーブルの上に置かれている携帯電話を手に取ると、手馴れた手付きで電話を掛ける。

 相手は、思い出の人物カルロス。あの時は勉学に苦戦し単位の心配をしていたが、今では優秀な科学者としてユアンの研究を手伝っている。それにより、この人物に絶大な信頼を置いていた。

「……どうだ」

 短い言葉に対し、相手は現在の状況を詳しく話していく。

 その内容に満足したのか、ユアンは嬉しそうに微笑む。流石、信頼している人物。見事な仕事ぶりに、絶賛の言葉を送る。

「謙遜するな」

 年下相手に敬語を使い、謙遜する。そのことが面白いのか、ケラケラと笑う。だが、仕事とプライベートは別問題。瞬時に難しい表情に変化すると、新しい研究に付いて提案する。

 それは今以上に難しい研究で、成功確立は極めて低い。しかしユアンは、行なおうとしている。何よりこの研究が成功すれば、新しい分野が開ける可能性が高いからだ。そのことを知っているので、電話の相手カルロスも手伝わせてほしいと心願してきた。それだけ、魅力的だったのだ。
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