エターナル・フロンティア~前編~
勿論相手を信頼しているので、断る理由はない。ユアンからの言葉に、相手は何度も「頑張る」と、言い続ける。
年齢差は、関係ない。カルロスにとって、高い分野で研究できるのが何よりの幸せ。それに、上手く行けば出世に繋がる。それを知っているので、ユアンと一緒に研究したいと望む。
「では、後で――」
一通りの会話を終えると、電源ボタンを押し電話を切る。そしてベッドから腰を上げると、クローゼットを開き服を出していく。それを手早く着込むと、視線を横たわっている女に向けた。
彼女をどうすればいいか――
いつもであったら早い帰宅を願うのだが、彼女にもう一日泊まっていってもらおうと思う。
今、気分がいい方ではない。その発散の意味で、彼女を一晩激しく交わるのも一興である。別に、気絶してもいい。寧ろ、気絶してくれる方が有難い。その方が、徹底的に楽しめるからだ。
今晩の出来事を考えると、口許が緩んでくる。彼はクスクスと怪しく笑うと、クローゼトを閉め部屋から出て行った。
◇◆◇◆◇◆
ユアンが向かった場所――
それは、以前孤児院があった場所。
ユアンが幼少の頃過ごした場所であり、信頼していた大人に裏切られた場所だ。そして今、跡形もない。
潰れた主な原因は、複数の金融機関から借金を重ねた影響だという。一つの場所から金を借り、それを違う場所に返済していた。自転車操業は身の破滅を招き、尚且つ非人道的な行為が首を絞めた。
これはユアンの推測だが、子供買っていた側に圧力を掛けられたのだろう。所謂、蜥蜴の尻尾切り。自分達に影響が及ぶ前に、孤児院側を見捨てたのだ。そして、社会的に抹殺した。
人伝えの噂で、院長のリダードは心労が祟り亡くなったという。しかし、本当に心労かどうかは怪しい。
孤児院が潰されたように、院長も殺された。そのように考えるのが、正しい。奥深い部分を知っているユアン。彼もまた、邪魔者を抹殺していっている。それが義父であっても、関係ない。邪魔者は、薙ぎ倒せ――これが、裏の世界で生きていく為の最善の方法であった。