エターナル・フロンティア~前編~
今日も、復讐を楽しんでもいい。だが折角思い出の場所に来たのだから、過去に浸るのが一番。
ユアンは再び足を進めると、孤児院が建てられていた場所を辿るように歩いて行く。その場所一体は先程以上に長い草が生えており、土の中から微かに基礎部分が見える程度だった。
しかし、何処に何があったのか記憶の中に残っているので、簡単に自分が使用していた部屋の位置を当てた。
右の壁の前に、机が置いてあった。
逆の左の壁の前は、スプリングが甘いベッド。
そして、窓付近に古いクローゼット。
ユアンは指で示しながら、記憶の中から思い出を引き出していく。今思えば、使用していた部屋は小さい。
現在使用している寝室の半分程度か。だが、資金繰りが悪い孤児院では、文句を言えない。
ふと、記憶の中に別の出来事が浮かんできた。それは、友人達と一緒に建物の近くに何かを埋めたことだ。それを思い出したユアンは記憶を手繰りその場所に行くと、石を拾い土を掘っていった。
「これは……」
土の中から出てきたのは、プレスチック製の箱。中に入っていたのは、動物の形をした石。それを見たユアンは、どうしてこれを埋めたのか思い出す。これは、約束の証でもあった。
大人になったら、一緒に――
相手はこのことを覚えているかどうか怪しいが、ユアンはハッキリと覚えていた。この後一緒に掘り起こすかどうか怪しいが、できるものなら一緒に掘りたいと思う。その為、一個石を手に取ると蓋を閉め、土をかぶせていく。いつか、共に掘り起こすことを願って――
ユアンが手に取った石は、猫の顔の形をしていた。当時遊び道具が少なく、頭を使って遊びを考えていた。そのひとつが、生き物の形をした石を集めコレクションしていくことだった。
一見地味な遊びだが、実に面白かった。そして、そんな思い出を失いたくないと土の中に埋めた。
(昔で言う、タイムカプセルか)
勿論、当時は「タイムカプセル」という言葉は、知らなかった。知らなかったが、ユアン達は思い出の石を土の中に埋めた。暫く、箱の中に入っていた石を見詰めていると、徐にポケットの中に仕舞い込む。そして違うポケットから携帯電話を取り出すと、部下に電話した。