エターナル・フロンティア~前編~
それは、行くのが遅くなるという連絡。
部下達は、ユアンの到着を首を長くして待っている。そして何も連絡せずにいると、何を言われるか――いや、過度に心配されてしまう。それはそれで有難いが、同時に迷惑と感じる。
勿論、これもユアンの人徳が関係しているのだが、物事には限度というものが存在し、時に鬱陶しい。しかしこれもユアンの優しさか、部下達に本心を言うことは絶対になかった。
部下への連絡を終えると、携帯電話をポケットの中に仕舞う。そして、次の目的地へ足を進めた。
◇◆◇◆◇◆
目的の場所――それは、高い地位に就いている科学者以外、立ち入りが禁止されている場所だ。
室内は、薄い白で統一されていた。そして、複雑な構造を持つ機械が所狭しと置かれている。
全ての機械の電源は入っている。その証拠に、ディスプレーに数値やグラフ。それに、複雑な単語が表示されていた。
ユアンは、ディスプレーに表示された数字や文字を全て見ていく。そして異常がないと判断すると、部屋の中心部へ向かう。中心部に置かれているのは、半円の形をしている機械。
部屋にある全ての機械と繋がっているのか、幾つ物の配線が集まっていた。ユアンは半円の機械を指で撫でると、徐にコツコツと叩いた。
「生きていますか?」
部屋の中にいるのは、ユアン一人。それだというのに、ユアンは誰かに向かって話していく。
その時、くぐもった声音が響いた。
『……煩い』
「つれないですね」
『お前と、話したくはない』
「僕は、そのようには思いません。何故なら、貴方は僕の義父。今の僕を作った、張本人だ」
その言葉に、義父と呼ばれた人物からの言葉はない。相当「義父」という言葉が効いたのか、暫く沈黙が続く。すると義父の反応が面白かったのか、ユアンはクスクスと笑い出す。現在、立場はユアンの方が上。その余裕が現在の状況を生み出しているのか、更に強く機械を叩く。