エターナル・フロンティア~前編~

 義父に言葉を発してほしいのか、叩き方は催促を促すもの。しかし、義父からの言葉がいまだにない。

「何故、黙るのですか」

 何としてでも、義父に喋ってほしい。その感情がユアンを動かしているのか、彼はスーツの内ポケットから一本の棒を取り出す。それを軽く指で弄ぶと、ゆっくりと棒を伸ばしていく。

 棒の正体は、長い針。ユアンは器用に針を指で回転させると、躊躇うことなく半円の機械の横から刺した。

 刹那、周囲に置いてあった全てのディスプレーの画面が一斉に波打ち、半分以上が消えてしまった。

 しかしすぐに復旧したのか、ディスプレーには先程と同じ物が表示されていた。わかり易い反応に、更に深く針を刺していく。すると今度は、先程以上にディスプレーの画面が揺れた。

『お前は、何故……』

「何故? 愚問ですね」

『何?』

「過去、貴方が同等のことをやっていた。その仕返しですよ。痛いですよね? 苦しめばいい」

『あ、あれは……』

「言い訳は、見苦しいですよ。ですが、少しは感謝しています。貴方のお陰で、今の地位を得た。実質的に、貴方より上。それもこれも、貴方が過去に研究していたものが役に立った」

 そう言うと、深く突き刺していた針を引き抜く。だが、これで終わったわけではない。再び針を突き入れると暫くそのままにしておく。針は確実に、相手の急所部分を貫いている。

 その為か、呻き声が部屋の中に響く。それもじわじわと身体を侵す、毒を飲んだかのように。

「苦しいですか?」

『……黙れ』

「その強情、昔と同じです」

『貴様!』

「その逆切れも、同じですよ」

 相手が手も足も出せない状況に置かれているのを知っているので、ユアンは一定の音量で言葉を続けていく。一方の義父はプライドが許さないのか、口調だけは強くユアンを罵っていった。しかし、いつまでも強気でいられない。義父は今、肉体という器を失っていたからだ。
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