エターナル・フロンティア~前編~

 リダード・ラドックが、肉体を失った理由――それは、ユアンが深く関係していた。彼は高度な知識と技術を得た後、義父に復讐を行なう。だが、普通に殺害してしまうのは面白くない。

 義父はユアンに対し様々なことを行なってきたので、それと同等の復讐を行なわないと気が済まない。

 結果、肉体を奪った。

 名目上の理由は「新しい研究を証明する」というもの。

 勿論、それに対して異論を唱える者も存在したが、リダードが行なった実験を表面に出したくないという思惑が一致し、ユアンの意見が受け入れられた。それに首謀者が表舞台から消えてくれることは、有難かった。

 ユアンの考えに、リダードは激しく抵抗していった。だが、自分の上司や部下の裏切りに合う。今、ユアンの方が絶大な力を持っている。立場的に、リダードの方が下。その為、好き勝手に復讐を行なえた。

 方法は簡単。

 全身麻酔を行なった後、脳味噌を取り出す。その脳味噌を専用の機械の中に入れ、複数のコードで繋ぐ。そして簡単に死んでは楽しくないと、長く生かす為に専用の薬品を開発する。

 しかしユアンが、復讐だけで終わらせるわけがない。彼は義父を罵倒していても、持つ知識は評価していた。勿論、それを利用しない手はない。だからこそ、義父を閉じ込めたのだ。

 この場所に存在しているのは、ユアンを含め能力研究を行なっている者にとっては重要不可欠の物。

 リダードは、それの番人。ユアンは義父に、その役割を与えた。だが時折、反発が起こる。

 誰が、こんな奴に――

 しかし、反発は無意味に終わる。

 肉体が無い者がどのように足掻いても、無駄であった。

 立場もそうであるが、持っている知識もユアンの方が上。反発が起こったとわかった瞬間、徹底的に痛め付けて服従させる。

 方法は、心得ている。それが、先程の針。肉体構造の他に、脳味噌の構造も理解しているので、的確に急所を突く。

「役割は、果して下さい」

『まさか、このような……』

 リダード自身、養子に貰った人物が、このようなことを行なうとは予想もしなかった。しかし、悪魔の部分を目覚めさせたのはリダード。今更後悔したところで、どうにもならない。
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