エターナル・フロンティア~前編~

 誰かに、プレッシャーを掛けるのが面白い。また、相手の反応を見て深層心理を見抜くのだ。

 しかし本当の理由は相手の弱味を掌握して、更に立場を強固なものにしていく為であった。

 それに、この件は気に食わない。ユアン自身他者の肉体を使って実験と研究を行なっているが、レナが話す内容に位置する出来事を行なってはいない。逆に、いくらユアンでも不可能だ。

 だが、これでハッキリとした。

 人間は、この世界で一番残酷な生き物と――

 長く笑い続けていた影響でユアンは肩で呼吸を繰り返すが、苦しがっていても目は笑っていた。

 いや、笑っているという表現は正しくはない。瞳の裏側には、殺気を含んだ怪しい色を宿していた。

「来週、お暇ですか?」

「えっ!?」

「一度、研究所に……」

「皆が、迷惑するわ」

「恐縮ですか」

「そうよ。それに、私は第一線から退いた身。今更行ったところで、何になるというのかしら」

 レナの本音では、自分が行っても邪魔になってしまうと考えていた。それに噂を聞いている程度で、本格的に実験と研究に関わっているのではない。その為、知識の差を懸念していた。

 ユアンは、知識面でレナに期待しているわけではない。

 ただ彼女が持つ権威を利用し、自分に優位に持っていこうとしていたのだ。だからこそ、どうしても来てほしかった。

 だが、言葉で本音を言うことはしない。当たり障りない言葉を言い、毎日のように鍛えている弁論を用いる。

 流石、多くの人物を言い包めているだけあって、簡単にレナも引っ掛かってしまう。こうなると、人生経験も役に立たない。

「有難うございます」

「興味は、なくはないわ」

 ユアンにしてみれば、理由は二番目に大事なこと。一番重要なのは、レナが来るか来ないかだ。今回、上手く相手が乗ってくれた。彼は心の中でほくそ笑むが、表情で一切それを出すことはなかった。彼は再度礼を言う為に、レナの顔を見る。そして、恭しく頭を垂れた。
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