エターナル・フロンティア~前編~

「雰囲気が、変わったわ」

「そうでしょうか」

「今は、殺伐としている」

「コーネリアス博士がいた頃とは、だいぶ変わりました。これが今の研究所です。さあ、奥へ――」

 ユアンの案内を受け、建物の奥へ向かう。途中、先程と同じようにレナは複数の人物から注目を浴びた。しかしこれは慣れてしまったのか、レナは黙々とユアンの後を続き歩いていく。

 ふと、レナの足が止まった。彼女は何気なく視線を横に向けた時、特殊な硝子が張られている部屋の中で行なっている仕事に目が止まった。

 部屋の中で働いている人物は少ないが、何か重要な研究を行なっているのは雰囲気でわかる。好奇心が疼くのか、ユアンにこの部屋のことを尋ねた。

「動物実験を行なっています」

「見ればわかるわ」

「そうですね」

「言わないの? 動物実験は、いい意味と悪い意味が含まれているわ。と言って、小動物で実験するのに関しては、賛否の意見があるのは間違いないわ。で、どのような理由なのかしら」

「ワクチン開発……」

「嘘」

 ユアンの言葉を遮るように、レナの囁き声が響く。彼女の言葉が的を射ていたのか、ユアンは苦笑していた。

「流石です」

「嘘だったのね」

「この研究所は、表に出していいものと悪いものが存在しています。まあ、この実験は表に出ても支障がない範囲ですが。それはそうです。悪いものを堂々と、人目に付く場所では行なわない」

「そうとも限らないわ。何かを隠す場合、同等の物に紛れ込ませるもの。といって、賛同しているわけではないわ」

 てっきり自分の考えに賛同してくれると考えていたが、相手は一筋縄でいかない人物。といって、残念がることはしない。このことは、長年の付き合いでわかっていることだから。

 ユアンは、硝子張りの部屋を一瞥する。するとユアンが見ていることに気付いたのか、中で働く者達が頭を垂れた。しかしそれ以上に、レナの姿に驚く。そして何を思ったのか、瞬時に仕事を再開する。どうやらユアン以上に緊張したのか、先程以上にキビキビと働いていた。
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