エターナル・フロンティア~前編~
「現場に、復帰しないのですか?」
「私が、幾つだと思っているの?」
「まだ、現役でやっていけます。それに、持っている知識をそのままにしているのは勿体無いです」
「無理よ。体力が持たないわ」
実験と研究は、想像以上に体力を奪う。それに更に、精神力も激しく削っていく。その両方を受け止めるだけの体力は、高齢のレナには残されていない。また、一度引いた身。二度と戻りたくないというのが本音だ。
「残念です」
「貴方がいるじゃない」
「僕は、まだまだです。それに、僕はたいした結果を出していません。そう、博士に比べたら……」
謙遜も、ここまでくるとたいしたものである。ユアンはそのように言うが、彼の功績は数え切れない。
大小全てを合わせれば、功績はレナの上を行く。しかし、ユアンは謙りレナの方が上と崇める。
「生き方が上手いわ」
「覚えました」
「そうね。この場所で仕事をしていたら、勝手に覚えていくもの。それに、覚えないと出世できないわ。ところで、何の研究をしているのかしら。ワクチン開発では、ないのでしょ?」
「そうですね。簡単に言えば、薬です。まあ、ワクチンも薬の一種ですが、使う人が違います」
「……そう」
勿論、レナはすぐに使用者が誰なのかわかった。しかし、それが誰なのかは、敢えて口には出さない。そもそも、出す必要がなかった。それに、言葉に出せば批判となってしまう。
また、薬を作っていることは前々から知っており、使用者が副作用で苦しんでいることも。
「彼は、元気かしら」
「彼?」
「わかっているでしょ?」
だが、本当にユアンは誰のことを言っているのかわからなかった。その為腕を組み、記憶を探っていく。すると一人だけ今の話に当て嵌まる人物を思い出し、その者の名前を口にする。ユアンは正しい名前を言ったのか、レナは頷き再度「元気にしているか」と、尋ねた。