エターナル・フロンティア~前編~
「ラドック博士」
「やあ、ランフォード君」
「こ、こんにちは」
緊張しているのか、イリアはしどろもどろになってしまい言葉が続かない。一方ユアンはイリアの反応が可愛かったのか、クスっと笑った後「仕事は大丈夫か」と、優しく尋ねていた。
「だ、大丈夫です」
「それは良かった」
彼は、頑張っている人物は素直に評価し褒め称える。だからこそ、今の言葉は心からの感想だった。
その言葉にイリアは照れを覚え反射的に視線を逸らすが、次に視線がたどり着いた場所はレナの顔だった。
「あの……此方の方は……」
「ああ、この方は――」
「レナ・コーネリアスよ」
ユアンの言葉を遮るように、レナは自ら自己紹介をする。しかし「レナ・コーネリアス」と言われても、イリアはピンっとこない。それは、仕方がないこと。イリアが能力研究の勉強をはじめたのは、最近なのだから。
若い者達が一様に同じ反応を見せることに、レナは何処か複雑な表情を作る。彼女が実験と研究をはじめた時代は、約六十年前。イリアを含めて若い者達は、まだ産まれてもいない。
だが、レナは能力研究の中では有名人。知らない方がおかしいのだが、いかんせん今はユアンの方が有名だった。その為、若い科学者達はユアンを尊敬し、彼を第一人者としている。
「……寂しいわ」
「どうしましたか?」
「いえ、何でもないわ。ところで、貴女はどのような研究と実験を此方で行なっているのかしら」
「以前は生物研究を行なっていましたが、今は能力研究の方を行なっています。まだまだ素人ですが……」
それを聞いたレナは、首を傾げていた。途中で専攻分野を変えるということは、よっぽどのこと。
それにイリアが新しく選んだ分野は、一番難しいとされている能力研究。勿論、面識がないレナにイリアが何故そのようにしたのかわからない。だが、ユアンは理由を知っている。彼は何処か不適な笑みを作ると、レナだけではなくイリアの耳に聞こえるように話していった。