エターナル・フロンティア~前編~
レナはユアンの背中を見詰め、廊下の角を曲がるのを待つ。そして、イリアに視線を向け口を開いた。
「イリアさん」
「は、はい」
「そんなに緊張しなくていいわ」
イリアの態度に、レナはクスクスと笑う。
ふと、すぐに笑いが止まった。
それは、二人の姿を見詰める複数の視線があったからだ。それは、研究所で働いている者達。
何を話しているのか気になるのか、全員が食いついている。しかしレナと視線が合った瞬間、全員が一斉に視線を逸らした。
「違う場所に行きましょう」
レナの提案に、イリアは無言で頷く。
それを見たレナも無言で頷くと、歩き出す。
しかし行きたい場所がわからないのか、途中で足を止めイリアにエレベーターの位置を尋ねる。
「何処へ行くのですか」
「屋上よ」
「わかりました。此方です」
イリアはレナの前に出ると、エレベーターが設置している場所に案内する。そして壁に設置されているボタンを押し、現在の階でエレベーターが止まるようにした。今の時間、それほど利用されていないのか、すぐにエレベーターがやって来た。案の定、誰も乗っていない。
「どうぞ」
「有難う」
レナに続きイリアもエレベーターに乗り込むと、屋上で止まるようにボタンを押す。その後、静かに扉が閉まった。
「お幾つ?」
「私……ですか?」
「そうよ」
「もう少しで、20になります」
「そう、若いわね」
自分の若い時代を思い出したのか、一瞬クスっと笑う。しかしすぐに、もとの表情に戻ってしまう。若い頃は、いい思い出も悪い思い出もバランスよく混ざっている。いや、どちらかといえば悪い思い出の方が強い。現役の科学者時代は、様々なことを行なっていたからだ。