エターナル・フロンティア~前編~

 レナはユアンの背中を見詰め、廊下の角を曲がるのを待つ。そして、イリアに視線を向け口を開いた。

「イリアさん」

「は、はい」

「そんなに緊張しなくていいわ」

 イリアの態度に、レナはクスクスと笑う。

 ふと、すぐに笑いが止まった。

 それは、二人の姿を見詰める複数の視線があったからだ。それは、研究所で働いている者達。
何を話しているのか気になるのか、全員が食いついている。しかしレナと視線が合った瞬間、全員が一斉に視線を逸らした。

「違う場所に行きましょう」

 レナの提案に、イリアは無言で頷く。

 それを見たレナも無言で頷くと、歩き出す。

 しかし行きたい場所がわからないのか、途中で足を止めイリアにエレベーターの位置を尋ねる。
「何処へ行くのですか」

「屋上よ」

「わかりました。此方です」

 イリアはレナの前に出ると、エレベーターが設置している場所に案内する。そして壁に設置されているボタンを押し、現在の階でエレベーターが止まるようにした。今の時間、それほど利用されていないのか、すぐにエレベーターがやって来た。案の定、誰も乗っていない。

「どうぞ」

「有難う」

 レナに続きイリアもエレベーターに乗り込むと、屋上で止まるようにボタンを押す。その後、静かに扉が閉まった。

「お幾つ?」

「私……ですか?」

「そうよ」

「もう少しで、20になります」

「そう、若いわね」

 自分の若い時代を思い出したのか、一瞬クスっと笑う。しかしすぐに、もとの表情に戻ってしまう。若い頃は、いい思い出も悪い思い出もバランスよく混ざっている。いや、どちらかといえば悪い思い出の方が強い。現役の科学者時代は、様々なことを行なっていたからだ。
< 438 / 580 >

この作品をシェア

pagetop