エターナル・フロンティア~前編~

 それに対してイリアは、反論できなかった。彼女も、巨大な川の流れに乗る人物の一人だから。

 この世界に生まれ、育つ。

 学校に通って知識を学び、科学者を目指す。

 自分で道を選択し、突き進んでいる。

 そう思っていたがレナの言葉を聞いていると、これも最初から決められた流れに乗っているのではないかと思えてくる。

 そうでなければ、不条理の世の中が変わらないことが説明付かない。また、変えるのに相当の力が必要なのもわかる。

 川の流れに抗い、逆に進んでいく。

 それが、変える者のやり方。

 タツキとクリスを見ると、それがよくわかる。二人は表情に出さないが、苦労が滲み出ていた。

 そして、立場が悪い。

 イリアがレナの言葉を受け考え込んでいると、弱弱しい声音が響く。「彼は元気?」それは、レナの言葉だった。

「……彼?」

「そう、彼」

 一瞬、誰かの名前を言葉として出そうとしたが、何か悪いことを思い出したのか途中で止めてしまう。

 その後出した名前は、ソラだった。

「はい。元気です」

「そう、良かったわ。彼のことは、昔から心配していたの。私は、小さい頃を知っているから」

 イリアからの言葉に、レナは嬉しそうに微笑む。そして現在、ソラがどうしているのか尋ねてきた。

「ソラは、仕事が忙しいです」

「仕事?」

「はい。ソラは今――」

 レナはユアンと違い、全身から「安心感」が、溢れていた。

 それを感じ取った影響か、イリアはレナに現在のソラが置かれている状況を話していく。その間レナは、何も言わずに聞き続ける。イリアの話が終わると、レナは重い口を開く。発した言葉は、嬉しさと哀しさが半々。

 自分の気持ちをどのように言葉に表していいのかわからないのか、短い単語が次々と外に出る。しかし気持ちの整理が付いたのか、イリアにこれからもソラを見守ってほしいと頼んだ。
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