エターナル・フロンティア~前編~
「……はい」
「貴女のような人が幼馴染で、良かったわ」
「そ、そうでしょうか」
「……ええ」
ソラが置かれている状況を考えれば、側で支えてくれる人物は優しい方がいい。包容力が篤く、何度も話し合える。そして時に愚痴を言い合い、気兼ねなく付き合える人物が一番だ。
語られる理想の人物像に、イリアは困惑してしまう。彼女が語る言葉に全て当て嵌まる人物は、カディオの方が似合う。それにイリアはソラに迷惑を掛ける回数が多く、世話になっている。
それらを総合すると、イリアがソラを支えているという訳ではなく、ソラがイリアを支えているといっていい。
ソラは、最低限の生活を送っている。
勿論、イリアが入る隙はない。
レナの話に、イリアはオドオドしてしまう。といって、嘘を付いたまま話を続けるわけにもいかない。
彼女は力強く頷くと、普段の二人の関係を丁寧に話していく。それも、包み隠さずに全部――
次の瞬間、レナの口許が緩んだ。
「正直ね」
「だって……」
「正直は、素晴らしいことよ」
「ソラは凄く真面目で堅苦しい部分がありますが、立派です。その……私がいなくても……」
「そんなことはないわ。人間は、一人で生きていくことはできないの。自分が自覚していなくとも、それぞれは繋がっているわ。貴女と私の出会いも、繋がりのひとつかもしれない」
「では、ソラとも……」
「そうね」
人間の運命は、実に複雑怪奇だ。運命という名前の見えない糸が、波長の合う人間に絡み合い、その者との繋がりを作る。
ソラとイリアの関係は、それで表せた。
イリアはソラと出会う前、ごく普通の生活を送っていた。父親と母親と三人で一軒家に暮らし、学生として勉学に励む。当時は、特に不満を持ってはいなかった。しかしソラが自宅の隣に引っ越してきた瞬間、互いの運命の糸は複雑に絡み合い、決して解けない関係を作る。