エターナル・フロンティア~前編~
余程の事情があるのか、レナの表情は何処か切ない。しかし語るに憚れる内容ではないので、口を開く。
レナは、ソラの知り合い。
いや、正しくはソラの父親が彼女の部下だった。
勿論、イリアにとっては初耳。昔からソラの父親は、会計士だと思っていたからだ。まさか、以前の職業が科学者。それも、能力研究を行なっていたとは――意外というより、驚きの方が強かった。
そのような背景から、レナはソラを心配していたという。科学者の父親のもとに産まれた子供。
立場的にいいものではない。
そして、風当たりが強い。
様々な要素が混ざり合い、ソラの父親は仕事を辞め息子と一緒に何処かへ行ってしまったという。
その間、連絡が取れなかった。
しかし数年前に、現在の惑星――この都市にいるという噂を聞き付けた。だが何の情報もなく捜すには、あまりにも難しい。
「木の葉を隠すなら森の中」という言葉があるように、複数の種族の人間が生活する都市の中に入ってしまうと、実にわからないもの。
それに彼等も、目立たずに生活を送っている。
また、レナが持つ情報網は広くはない。
その為、関係者がソラ達を見付け出したと聞くまで、捜し出すことはできなかったという。
「私が、早く……」
其処で一瞬、言葉が止まる。
「早く捜していたら、このようにならなかったかもしれない。でも、今更後悔したところで……」
彼女は、自己責任が強い。全ての原因が自分にあると思い、背負い込んでしまう。
ソラに対しての贖罪と、彼の父親に正しい意見を言えなかったことを、今も悩み続けている。
背負う物を軽くしたい。
聞き方によっては、レナの都合でソラに会いたいと言っているように捉えられなくもないが、彼女は本気で心配している。
胸中を吐露する姿にイリアは、ポケットから携帯電話を取り出す。そして慣れた手付きでボタンを弄くると、画面にソラの携帯電話の番号を表示する。今、自分ができるのはこれくらい。また事前に「レナ・コーネリアス」という人物から電話があると、連絡をしておくと言う。