エターナル・フロンティア~前編~

 しかし、これにはもうひとつ理由が存在していた。それは、彼女がユアンのようになってほしくないからだ。イリアが同種の存在になってしまったら、一番不幸を見るのは幼馴染のソラ。だからこそ、レナが壁を作る。

 一方、イリアはレナの心情には気付いていない。

 彼女にとってレナは「いい人」であり、自分が知らないソラの過去を知っている人物。その為か、更に信頼を置く。

 天秤の傾き具合は、レナの方が重い。

 それは、彼女にとっては好都合。

 これもまた、ソラへの愛情に繋がるからだ。

 二人の話は、その後15分続く。そして一通りの話を終えると、イリアは仕事場へレナはユアンのもとへ行く。

 しかし、何処へ行けばユアンに会えるのか――

 レナは廊下を慌しく歩く科学者に声を掛けると、ユアンの私室へ連れて行ってもらった。部屋の中に入ると同時に、ユアンが言葉を掛けてくる。どうやらレナが来ると予想していたのか、微笑を浮かべるだけだった。

「ああ、宜しいのですか」

「ええ、終わったわ」

「そうですか。では、案内を――」

「行きたい場所があるわ」

 その言葉にユアンは首を傾げるが、雰囲気で何となく予想が付く。彼女が来ているということは、研究所の面々は知っている。

 よって、自由に行き来は可能である。だが、レナはユアンに頼む。その裏側に、表で表せないものが隠されているのは間違いなかった。

 彼女の言葉に、ユアンは無言で頷く。そして椅子から腰を上げると、何処へ案内すればいいか尋ねた。

「貴方の義父のもとへ」

「お勧めできませんが」

「構わないわ」

「……そうですか」

 彼女がそのように言うのだから、従うしかない。あの場所は特定の人物しか入室できない場所だが、レナは特に問題はなかった。それに、ユアンの義父とレナの繋がりは知っている。

 両者が何を話すのか。正直、好奇心の方が強い。彼の場合、立場うんぬんで義父に会わせるのではなく、久し振りに対面する二人の反応が知りたいのだ。悪趣味といったら悪趣味。しかしこれも裏を返せば、義父に対しての復讐も兼ねている。何故なら、レナの方が強いからだ。
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