エターナル・フロンティア~前編~

 これから先、地下へ行くまで扉が開くことはない。要は、専用の乗り物になるのだ。彼等がいる施設は、地上に建設されている面積より、地下に広がる空間の方が広い。勿論、全て科学者が出入りできる場所も存在するが、一定の部分は特定の人物以外立ち入り禁止だ。

 いつの時代も、目に触れてはいけない物は地下深くに隠す。主な理由は、地下は地上と違い、何かトラブルが発生した場合封じ込めやすいからだろう。しかしユアンは、別の解釈を持つ。

 都合が悪い物を同じ目線の位置に置きたくないから、人間は目に見えない場所にそれを隠す。

 それが地下であり、密封性が高い場所だ。

 その意見は、本質を突いている。

 現に、多くの者が同等の行為を行なう。

 この意見を踏まえた場合、ユアンにとって義父は都合の悪い物。いや、どちらかといえば厄介な存在。

 衣食住を提供してくれ、勉強もさせてくれた。これに関しては感謝できなくもないが、人体実験を繰り返したのは聊か問題である。育ててくれた親に感謝できる子供は、幸せである。だが、哀しいことにユアンは義父に感謝の言葉を言うことはできない。逆に、罵倒する。

 あらゆる、汚い言葉で――

 その時、エレベーターが停止し扉が開いた。

 どうやら、目的の階層に到着したようだ。

 ユアンは恭しい態度で、レナに先に降りるように促す。彼に促されるようにレナはエレベーターを降りると、それに続くようにユアンも降りる。すると、エレベーターの扉が閉まった。

 地下施設ということもあって、独特の雰囲気が漂う。長い通路には人工的な明かりが照らしているが、何処か薄暗い。すると、先程以上に明るい明かりが周囲を照らす。目の前に現れたのは、硝子張りの部屋。

 所謂、地下の研究施設だ。

「上と同じで、何処か違うわ」

「内容が、違うだけです」

「人が少ないわね」

「あまりいいことをやっていませんので」

 その言葉に、レナはやれやれと肩を竦める。「あまりいいこと」という意味は、説明がなくともわかる。しかし一体、どれだけの研究を行なっているのか――というのは愚問だ。それに、聞いたところでどうこうできる問題でもない。また、レナにとっては見慣れた光景だった。
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