エターナル・フロンティア~前編~

 やはり、物事にはいい悪いが存在する。

 人間、生身の生き物なので周囲の環境に合わせて、変わっていくもの。特に生きる年月が長いほど、その影響を強く受ける。

 要は、毒されるのだ。

 よくよく考えれば、彼が全て悪いわけではない。

 中には「精神の未熟」を言う者もいるが、全員が全員鋼の精神を持っているわけではない。

 彼の場合、人並み以上の貪欲さを持ちながら、精神面が弱かった。そのアンバランスさが、ユアンに対しての仕打ちに繋がった。

 アンドリュー・ラドック。

 それが、ユアンの義父の名前だ。

 話していくうちに、自分が現役時代を思い出していく。

 すると、途中で気付く。

 現在の状況が、彼が抱いていた欲望と似ていると――

 彼はレナと違い歴史に名前が残っているわけではないが、当時共に働いていた仲間達の間では有名だ。その理由は、養子として迎え入れた子供に人体実験を行ったということである。

 最初は、それに対しての説教だった。しかし途中から、話が逸れていく。どうも話していると、自分がアンドリューに説教していいのか迷いが生じる。現に、似たようなことをしてきたのだから。

「コーネリアス博士?」

「……歳には、勝てないわ」

「まだまだ、若いですよ」

 何かを言う為に、この場所へやって来た。しかしアンドリューが閉じ込められている部屋に漂う独特の空気に、逆にやられてしまったようだ。また、彼女の言葉が全て正しいわけではない。

『俺は、悪いと思っていません』

「……そうね」

 否定もできなければ、肯定も難しい。

 すると何を思ったのか、レナはユアンに外に出て欲しいと頼む。どうやら、二人っきりで話がしたいようだ。

 勿論、何を話したいのか気になる。

 しかし下手に行動すると、不信感を抱かしてしまう。それにレナが義父に対し、徹底的に痛め付けてくれると期待していたのだが、どうも方向性が悪くなってきている。長く見ていても、面白い状況にはならないだろう。それなら外で待っている方がいいと結論付け、軽く頷き返事を返した。
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