エターナル・フロンティア~前編~
「成功は?」
『……全く』
「仕方ないわね。体内に入れたところで、それが持っている能力を得ることはできないのだから」
彼等のやり方に、ふと遠い昔の物語の中に登場した空想上の生き物を思い出す。確か、名前は「合成獣(キマイラ)」だった。
あれは複数の獣同士が合体した生き物で、きちんと生物として生きている。しかし、所詮は想像上の生き物。それを人間に当て嵌めるのは、おかしい。だが、彼等がやっていることはこれに等しい。
同時に、レナは彼等の暴走を恐れる。
血肉を喰らうだけではなく、肉体そのものの改造を行なうのではないかと。所謂、部分の交換だ。
現代の医療技術なら、それが可能だろう。
しかし、まだ其処までに至っていない。
だが、いつか――
レナは、溜息を付く。
「貴方は、満足?」
『どういう意味でしょうか』
今までの話の流れを考えると、この質問はおかしい。その為、アンドリューはすぐに回答を言うことができなかった。
強いて言えば「不満足」というところか。
肉体を失い、脳味噌は狭い機械の中に入れられている。時折義理の息子に甚振られ、愚痴を言われる。生かす殺さずの生殺し状態。それが何年も続いているので、ストレスも溜まっている。
「出たい?」
『この場所からですか』
「……そう」
『いいです』
「何故?」
『当初は、死を望みました。しかしこの現状がどうなるか、見届けたいという気持ちもないわけでもないです』
「心境の変化かしら」
悟りのようなものを開いたのか。ユアンと三人で話していた時より、荒々しさは感じられない。どちらかといえば、此方が彼の本性というものなのか。彼の中に、優しさのようなものが見え隠れしている。それに気付いたレナは、徐に口を開くと。ひとつの頼みごとをした。