エターナル・フロンティア~前編~

 監視できる範囲を監視して欲しい。それは長年の経験なのか、レナはユアンと他の科学者達の動きを危惧する。

 過去の出来事を考えれば、アンドリューを全面的に信頼できるわけではないが、レナはマイノリティーの中に所属する者。彼に依頼するしか、方法がない。

『……わかりました』

 しかし、成功する確率は低い。

 肉体を持っていればどうこう対応ができるのだが、脳味噌だけでは上手く戦うことができない。

 特にユアンに捕まった場合、今まで以上の仕打ちが待っている可能性が高い。だが、やらないといけない。そのことはわかっているのだろう、アンドリューはレナに自分の答えを言った。

「有難う」

『しかし、報告は……』

「それは、わかっているわ。私が何度も出入りをしていたら、怪しまれてしまうからね。特に、彼に……」

 変に感がいいユアン。どんなに気付かれないように振舞っても、人間は何処かで演技が出てしまう。

 それにレナは、周囲を欺くプロではない。また気付かれた後、アンドリューに更なる被害が行く。

 一見、アンドリューは施設の重要な部分を担っているように思えるが、ユアンにとっては復讐の対象であり捨石にもなる。

 所詮、義父はそのような存在。

 今更、昔の繋がりを持ち出しどうこう言える立場ではないが、誰かが亡くなるのは見ていていいものではない。だからこそアンドリューの立場を守る為に、二度と来ないと約束する。

『貴女は、優し過ぎます』

「歳の所為よ」

『謙遜を――』

「いえ、本当よ。それと、臆病になったわ」

 レナ曰く、若い頃はもっと積極的に動き、何かに対して恐れることが少なかったというが、年齢を重ねていくと積極的な部分は薄れ、逆に「臆病」の部分が強調されていったという。

 肉体の老いは、精神の面でも現れる。最初は感じることができなかったが、60歳を過ぎると嫌でも感じてくる。そして現在のレナの年齢では、完全にヨボヨボ状態。といって、老いの結果全てが枯れてしまったというわけでもない。その証拠に、アンドリューに頼みごとを行なった。
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