エターナル・フロンティア~前編~
「どの動物に触るの?」
「小さい動物は……多いわね」
動物と触れ合いができるエリアは、木製の門で区切られていた。二人は門を潜り敷地内へ立ち入ると、どの動物のもとへ行くか相談をはじめた。生憎、小型の動物は人気が高い。残っているのは、中型の動物だった。
中型の動物は、家畜と呼ばれている生き物。モコモコとした真っ白い毛が身体の全体を覆い、顔と四本の脚は真っ黒。そして尻尾は細く、ピクピクっと小刻みに可愛らしく動いていた。
モコモコの生き物は、全部で五匹。全員が木で造られた四角の作の中に入れられ、間延びした声で鳴いている。
レナは柵の出入り口の近くに向かうと、手招きでソラを呼ぶ。しかしソラは柵の中に転がっている物が気になるのか、動こうとしない。それに、何とも表現し難い臭いが漂っている。
「……臭い」
「あら、生き物だから排泄はするわ」
「そうだけど……」
「黒い物が、落ちているわね」
「婆ちゃん、軽いよ」
のほほんっとした口調で、目の前の生き物の周囲に落ちている黒い物に付いて語っていく。
黒くて丸い物体は、モコモコっとした生き物が輩出した排泄物。だがレナは気にならないのか、柵の中に入って行こうとする。だが、寸前で飼育員らしき人物に止められてしまった。
「生き物を触る前に、手を洗って下さい」
「それは御免なさい」
飼育員の言葉にレナは慌てて柵の外へ出て行くと、ソラのもとへ行き飼育員に言われたことを話す。勿論、近くにいたので飼育員の言葉は彼の耳にも入っていたので、手洗い場を事前に探してあった。
「婆ちゃん、洗い場ならあっちにあったよ」
「あら、気が利いているわ」
「聞こえていたから」
「あら、そうなの?」
クスクスと笑うレナの姿に、ソラも釣られるようにクスクスっと笑い出す。動物園に来た当初、レナは凛とした態度を取り何処かギクシャクとしていたが、今は気さくでな老人そのもの。ソラとの間にあった見えない壁が取り除かれたことが影響しているのか、明るい笑いが響き渡る。