エターナル・フロンティア~前編~
レナの言葉にソラは左右に視線を走らせ、座れる部分を探す。するとちょうどいい場所に、木製の椅子を発見する。ソラはレナの肩を支え、木製の椅子の側へ連れて行くと其処に座らせた。
レナが座ったと同時に、水で濡らしたティシュを手渡す。それを受け取ったレナは汚れた靴を脱ぐと、丁寧に拭いていく。
「もっと、必要?」
「そうね。お願いできる?」
「いいよ」
彼女の言葉に頷くと、ソラはティシュを濡らしに急ぐ。先程手を洗った場所に行き数枚のティシュを濡らすとレナのもとへ帰り、それを手渡す。受け取ったレナはそれを使い靴を拭き、黒い物体を落としていく。
「どうかしら」
「綺麗だね」
「有難う」
「次は、気を付けて欲しいな」
「御免ね」
孫の注意にレナはクスっと笑うと、優しい笑顔を作った。その笑顔にソラも笑顔で返すと、乾いたティシュを取り出すとこれで仕上げた方がいいと差し出した。今拭いた靴は、水で濡れている。このまま履いては冷たく、靴下が濡れてしまい気持ち悪い感触が付き纏う。
彼の言葉にレナは素直に受け取ると、乾いたティシュで靴の表面の水分を拭き取っていった。
「ゴミ、捨ててくるよ」
「本当に、気が効くわね」
「そんなことはないよ。婆ちゃんは年だから、オレが動いた方がいいと、思っているんだよ」
「あら、言ってくれるわね」
勿論、ソラは悪口を言っているわけではない。レナの年齢と身体のことを考えて、ついつい厳しい言葉を言ってしまう。そのことをわかっているレナは、お返しとばかりにちょっと毒を混ぜた言葉を返す。
「婆ちゃん」
「貴方のそういうところが、可愛いわ」
言葉に毒を混ぜたと思えば、その次に「可愛い」と言う。年齢の差というべきか、完全にソラを手玉に取っている。口では勝てないと感じたのか、ソラは困ったような表情を浮かべ肩をやれやれと竦めていた。その後ソラは手を差し伸べると、これに掴まって立つように促す。