エターナル・フロンティア~前編~
「どうかしら」
「いいかもしれない」
「良かったわ」
ソラが喜んでくれたことに、レナは満足そうに頷く。するとモコモコの毛を気に入ったのか、ソラは何を思ったのか分厚い毛並みの中に手を突っ込んだ。その瞬間、生き物の間延びした鳴き声が響く。
「な、何をしたのですか」
悲鳴に近い鳴き声に、飼育員が飛んでやって来る。そしてソラに詰め寄ると、何をやらかしたのか尋ねた。
「ただ、毛の中に手を突っ込み……」
「生き物はデリケートなので、あまり驚かせるような行動は行なわないで下さい。お願いします」
飼育員の言葉に、ソラは項垂れ反省する。流石に今回は、ソラが悪い。そもそも、生き物に対しての扱い方がなっていなかった。自分でもそのことをわかっているのだろう、ソラは無言で聞き続けた。
数分後――
飼育員から解放されたソラは、レナの前に行くと頭を下げ「御免」と謝り、深く反省する。それに対しレナはソラの頭を撫でると、今回のことは仕方がなかったので気にしなくていいと言う。
「もう、この場所にいられないわね」
「……御免」
「そんなに、何度も謝らなくていいわ。さて、次は何処へ行きましょうか。貴方が、選んでいいわ」
「なら、買い物に行きたい」
「夕食ね」
「そう。婆ちゃんが食べたい物を作るよ」
「楽しみにしているわ」
「頑張るよ」
レナは手を繋ぎ動物園の外へ行こうとしたが、ソラはレナと手を繋ぐことを拒否する。その反応にレナは目を丸くするが、ソラは悪気があって行ったわけではない。先程までソラは生き物を触っているので、掌は汚い。それを洗って落とす前に、レナと手を繋げなかったのだ。
彼の心遣いにレナは頷いて返すと、ポンっと彼の背中を押し手を洗ってくるように促した。それに対してソラも頷いて返すと、駆け足で手洗い場へ急ぐ。そして丁寧に手を洗うとリュックから取り出したティッシュで拭きつつ、レナのもとへ戻って来た。その後二人は仲良く手を繋ぎ、出入り口へ歩いて行った。