エターナル・フロンティア~前編~

 といって、立ち尽くして考えていてもいいレシピが思い付かない。この場合、材料を見て考えるのが一番と思ったソラは、レナの手を握りスーパーの中へ入り並べられている材料を眺めていった。

 真剣な目付きで食材を見詰めるソラに、レナは言葉を掛けるタイミングを失ってしまう。そんな可愛い孫の姿に相当料理が好きなのだと知り、彼の横で温かい視線を向けているのだった。

「白身でいい?」

「ええ、いいわ」

「ホワイトソースと一緒に煮込むと、美味しいんだ。あと、野菜も煮込むと美味しいんだよね」

「色々と知っているのね」

「同じ料理だと飽きるから、ネットで調べて研究しているんだ。そうしないと、栄養が偏るし」

 彼の言葉に、レナは納得するように頷き返す。人間、食物を食べて生きている生き物なので、栄養の偏りは身体のバランスを崩してしまう。特にソラの身体を考えると、栄養がある食べ物をきちんと食べないといけない。

 ソラの顔色はあまりいい方ではなく尚且つ小食だと知った時、彼の身体を心配したが料理に気を使っていると知って安心する。

「今回は、手の込んだ料理じゃないけど……」

「いいわよ」

「でも、シッカリ作るね」

「楽しみにしているわ」

 どのような料理が出来るのかわからないが、このように真剣に食材を選んでいる姿を見ていると、美味しい料理を作ってくれるのではないかとワクワクしだし、腹が鳴りそうになってしまう。

 新鮮な魚を選び終えると、次に料理に必要な野菜を探しはじめる。しかし魚と違っていい物が見付からないのか、ソラは唸り声を出しつつ並べられている野菜を眺め、時折首を傾げる。

「普通の野菜でいいわよ」

「婆ちゃんには、美味しい料理を食べてもらいたいから。できるだけ、いい野菜を選びたいんだ」

「妥協は、しないのね」

 その言葉に、ソラは「勿論」と、言い返す。作る料理は自分で食べるのではなく、レナに味わってもらいたい物。少しでも妥協してしまえば、後々後悔してしまう。その思いが強く働いているのだろう、いい野菜を探し出そうとひとつひとつ野菜を手に取り眺めていく。
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