エターナル・フロンティア~前編~
レナの説明で風呂場の位置がわかったソラはその場所へ行くと、服を脱ぎ風呂に入ることにした。
彼はレナと違い、風呂は短い。それに他人の家の風呂ということで、長風呂をすることはなかった。
風呂から出ると、籠の中に一枚のタオルが置かれていた。ソラが風呂に入っている間にレナがタオルを持ってきたのだろう、それを手に取ると丁寧に髪や身体の水分を拭き取り下着を穿く。
ふと、鏡に自分の顔が映っていることに気付く。ソラは拭く手を止めると、自分の顔を眺めた。
普段、鏡を長く眺めたことはない。改めてこのように眺めると、何だかこそばゆい感覚になる。
自分は、周囲からどのように見られているのか。
何気なく、そのようなことを考えてしまう。力を持つ者ということではなく、外見に対しての周囲の印象だ。
イリアが通っていたアカデミーでの反応は、かなりいい方だ。ソラ本人は気付いていないが、彼は美形に分類される。また、独特の雰囲気がミステリアスな一面を生み出し、想像をかき立てる。
見た目だけではなく、スタイルもいいソラ。全てに関して完璧といってもいいが、ただひとつ難点を持つ。それが、世間から邪険に扱われている自分の力。そのことを思うと、溜息が出る。
(でも、彼女は……)
幼馴染のイリアは、普通の女性とは違う。ソラの立場と心情を理解して、優しく接してくれる。時折我儘を言うが、変に遠慮されるよりはいい。だからソラは、彼女に特別な気持ちを抱く。
その時、何度もくしゃみを繰り返してしまう。今、ソラは下着しか纏っていない。いくら室内とはいえ、風呂上りで下着一枚は風邪をひく原因になってしまう。ソラは慌てて服を着ると、ドライヤーで髪を乾かす。
一通り乾かし終えると、手櫛でボサボサになってしまった髪を簡単に整える。そして使用していたバスタオルを利き手に掛けると、二階の部屋に歩いて行く。するとテレビを観ていた部屋から明かりが漏れていることに気付き、レナがまだ起きていると知ったソラは彼女に挨拶する為に部屋の中に入って行った。
「早いわね」
寝る前に紅茶を飲むのが習慣になっているのか、花柄が描かれた可愛らしいティーカップに茶色の液体が注がれている。更に目が止まったのか、空のティーカップ。どうやらソラが風呂から出てくるのを待っていたのだろう、レナはソラをソファーに座るように勧めた。