エターナル・フロンティア~前編~
しかし、此処で引き下がるわけにはいかない。ユアンは相手を睨み付けると、口を開いた。
「一体、何をなさるのですか?」
「知りたいか?」
「勿論です」
いちいち気に障る言い方をする。だが、感情を爆発させたら此方の負け。それがわかっているので、ユアンは心の中で「落ち着け」と言い聞かせ爆発を抑えていくが、限界が近い。
ユアンの頼みに相手は何を思ったのか、口許を醜く緩める。そして、衝撃的な言葉を発した。
「では、言い方がある」
「言い方?」
「普通は「お願いします」と言う」
その瞬間、ユアンはブチっと何かが切れる音がした。どこまで人の神経を逆撫ですれば気が済むのか――反射的にそのように叫びそうになるが、現在の状況を考えると此処で叫ぶのはまずい。
両手で拳を作り、必死に抑えていく。だが怒りの放出は止まらないのだろう、身体がかすかに震える。
「……聞かせて下さい。お願いします」
「そう言われたのなら、仕方がない。お前が固執している実験体は、危険生物の餌食にされる」
その説明で、瞬時に何が行なわれるのか察する。彼にしてみれば、それだけは行なわすわけにはいかなかった。下手をすれば、貴重な存在を失ってしまう。一時的な快楽で彼をそのような目に遭わせるのは、何と馬鹿馬鹿しいことか。ユアンは踵を返すと部屋から飛び出し、ソラがいる場所へ急いだ。
だが、ユアンと話していた人物にしてみれば、その場所に行かせるわけにはいかなかった。彼が姿を消したと同時に、彼が向かった場所に連絡する。「ユアン・ラドックは今回の件に関わっていない」それが立ち入り禁止の理由。
冷静沈着なユアンであったが今回は完全に頭に血が上っているので、裏でそのようなことがあったことに気付いていない。普段の彼であったら、瞬時に彼等の考えを察する。だが、今のユアンは感情のままに突き進む。それだけ、彼等が行なおうとしていることが気に入らなかった。
「危険生物」というのは、現在の科学が生み出した人工生物。俗に言う合成獣(キメラ)と呼ばれる生き物。野生生物とは違い性格は獰猛で、飼い慣らすというのは難しい。過去に何人もの科学者が、彼等の被害を受けている。そのような生き物と――多分、互いに戦わせるのだろう。