エターナル・フロンティア~前編~

 名目上は「実験」となっているが、本当の意味では互いに戦わせて楽しむ。ユアンは人体実験を行なうが、そのようなことは行なわない。一種の娯楽というべきか、このようなことを行なうのは悪趣味だ。

 そもそも、何故そのような生き物が作られているのか。何も知らない者がこの話を聞いたら、そのように質問するだろう。

 この獣は、一種の副産物。能力研究の中で行なわれている遺伝子研究を応用して、この生き物が作られたのだ。人間は、自分が持つ知識と技術を目に見える形にしたいと思う生き物。結果、例の生き物が生まれた。

 別に、そこまではいい。現にユアンも、自分が持つ知識と技術を形にして表に出しているのだから。

 しかし、その先がいけない。それに、何故互いを戦わせるのか意味がわからない。ソラ達は貴重な存在。簡単に死なせてしまったら、今後の研究に関わってくる。殺さず、ギリギリの位置で――それが、ユアンの考えだ。

 行なわれる場所は何処なのか。過去に数回その場所に立ち入ったことがあるので、ユアンは真っ直ぐその場所に行くことができる。だが事前の連絡の影響で、入り口で止められてしまう。

「上からの命令か?」

「そ、それは……」

 ユアンの迫力に、入り口の前に立つ者がたじろぐ。だが、ユアンが指摘したように「彼を立ち入らせるな」という命令があるので、何度も立ち入りが禁止だということを伝えていく。同じやり取りを繰り返すのは、馬鹿らしい。冷静さを取り戻したユアンは肩をやれやれと竦めると、踵を返し立ち去った。

「馬鹿か」

 前々から、上に立つ者のやり方が気に入らなかった。それが今回の件で更に強くなり、思わず舌打ちする。

 どうすればいいか――

 脳味噌をフルに動かし、計画を練っていく。無能で不必要な存在は、早めに排除しないといけない。それが、ユアンが出した答え。勿論、無能で不必要な存在の中に先程の男も含まれている。

 あの男は、科学者としては有能だ。それが関係し、あれだけの地位に就いている。決して無能ではないが、ある一点に関しては「無能」という言葉が適切である。そう、やり方の点だ。

 彼は、神経を逆撫ですることに関しては天才的だ。だが、それを処理するのは下手過ぎる。その点、ユアンは処理することに関しては天才的。頭の回転が速く、足が付きにくい方法を考え実行できる。まずは、外堀から埋めるのが一番。ジワジワと甚振り、肉体と精神の両方を壊していく。
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