エターナル・フロンティア~前編~
ソラ達力を持つものに対して行なっていることを、男に行なうのだった。無能ほど、厄介な生き物は存在しない。下手すれば、多くの者を巻き添えにする。正直に言うと、巻き添えは御免である。だから、早めに潰しておかないといけない。二度と立ちなれないように――
「ラドック博士」
ふと、男が一人此方に駆け寄ってくる。どうやらユアンを捜していたのだろう、息を切らしていた。
「どうした?」
「研究のことですが……」
「ああ、わかっている。後で行く」
「わかりました。全員が待っています」
男の言葉に頷き返すと、軽く手を上げると何処かに向かって歩き出す。その謎めいた動きに男は首を傾げるが、ユアンの行動自体謎が多いので特に深く追求することはしなかった。
それにユアンに対して信頼もあるので、男は踵を返すと研究に使用している部屋に戻って行った。
男と別れた後、ユアンが向かった場所――それは、大量の薬が納められている部屋だった。だが、置かれている物は実験や研究に使用している物であって、特に劇薬という物ではない。
そもそも、劇薬を表に出しておく方がおかしい。劇薬指定してある物は、更に裏の部屋に置かれている。
ユアンの目的の部屋は、その裏の部屋。白衣の裏ポケットから一枚のカードを取り出すと、ドアの前に設置してある機械に通す。その瞬間、電子音が響き鍵が解除される音が続く。
ドアノブを回し、部屋の中に入って行く。刹那、先程の部屋とは違い独特の臭いが漂ってきた。
悪臭とも異臭とも取れる臭いであったが、その臭いに慣れているのか、特に気にする様子はない。棚に並べられている薬の数々。貼られているラベルに書かれている文字だけで、必要な薬を探していく。
その時、ひとつの薬の前で立ち止まった。そして薬瓶を手に取ると、軽く左右に振り中身を確認する。余程の劇薬なのか、中身は半分以上残っている。そのことに、ユアンは口許が緩んだ。
この薬は無味無臭ではないので、使い方を間違えるとすぐに判明してしまう。勿論、その点はわかっているので使い方は慎重になる。飲み物や食べ物に混ぜて使うという、ベタな方法は使用しない。ユアンは、特別な方法――別の薬に一部分を混ぜ合わせて使う方法を思い付く。