エターナル・フロンティア~前編~

 今回は個人的に必要なデータを収集するので、関係ない人間に口出しされたくない。という理由で、管理を自分に移す。

 ユアン一人で全てを行なうというのは恐ろしい面も隠されているが、考え方によっては此方の方がいい。一応、ユアンはギリギリの位置をキープしてくれる。要は、命を落とす心配がない。

 だからといって、感謝の気持ちを示すことはできない。何せ、相手はあのユアンなのだから。

「こいつは?」

「一緒に連れて行っても構わない」

 寧ろ、一緒に連れて行ってくれた方が助かるというのが本音だ。子犬はソラの側にいる時は大人しくしていて可愛らしいが、1匹にした瞬間何を仕出かすかわかったものではない。

 それなら一緒にいて、暴れるのを抑え付けて欲しい。ユアンは子犬に視線を向けると、ソラと他の者に見せる態度の違いを嘆く。また、獰猛な生き物を懐かせるのは一種の才能か。

 合成獣(キメラ)の件といい子犬の懐き具合といい、何か特別なものを持っているのは間違いない。どのように調べていけばいいか――ユアンは天才的な脳味噌を働かせ、データ収集の方法を考えていった。

「特別の部屋に行く。他の奴等が口を挟んだら、煩いからな。君の力を狙っている者は多い」

 彼の発言に、ソラの眉が動く。ユアンは他の人物を批判しているが、ユアン自身もソラの力を狙っている。両者は根の部分で共通しているが、ユアンの方はやり方を心得ているので他の科学者の方が目立つ。

 これも、天才的な頭脳を持つ人物だからできることだろう。ソラは心の中で「曲者」と呟いた。

「さて、場所を移そう」

「……はい」

「素直が一番だ」

「素直になれなければいけない理由がありますので。再度聞きますが、本当に彼女の為に……」

「嘘は言わない」

 二度同じ内容を質問し、二度同じ答えが返ってくる。ユアンの性格上何度同じ質問をしても、同じ回答が返ってくるだろう。それに一度約束したのだから、今更約束をなかったことにはできない。

 その点はソラのいい面でもあり、欠点でもあった。言い方を悪くすれば、正直で優し過ぎるのだ。
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