エターナル・フロンティア~前編~
長い間、身体を弄くられているうちに身に付けたスキル。このような時にしか役に立たないスキルにソラは遣る瀬無い気持ちが広がっていくが、すぐにその気持ちを打ち消していた。
耳に届く音が、徐々に小さくなっていく。科学者達の声音や可愛い子犬の鳴き声さえも――
これで彼等が好き勝手に行なっても、反動が肉体と精神面に全て返ってくることはしない。
次に目を開けた時は、どれだけの時間が経過しているか。どれだけのことをされているか。
だがいい内容は毎回期待していないので、考えることも止めてしまう。そして、全ての思考を停止した。
目を閉じ開いた時は、全ての実験や研究が終了している。しかし、今日は違っていた。目の前に広がっているのは、白一色の眩しい空間。その空間は、先程自身がいた場所ではない。
其処が夢の世界と理解したのは、暫くした後。特に不思議な感覚はなかったが、空間の広さは認識できなかった。
(実験の影響)
第一に考えたことは、彼等が行なっている内容。それが脳の中枢部分に影響を与え、夢を見ているのではないか。そのように結論を出すが、ソラは其方の方面に長けているわけではないのでこれが正しいかわからない。
ふと、自身の身体に視線を向ける。夢の世界にいるので身体に付けられている機械類はないが、現実の世界で身体に機械が取り付けられていたということを思い出した瞬間、身体が重く感じる。
現実の世界と夢の世界がリンクする。次の瞬間、自身の足下から赤い液体が漏れ出し広がっていく。
(……何)
冷たくも温かくもない液体であったが、足下から漏れ出している液体の正体が血液だということが瞬時にわかった。慌てて自分の身体を見て回るが、怪我を負っている場所は見当たらない。その間も漏れ出す血液の量が徐々に増えていき、白い空間が赤く染まっていく。
刹那、心臓が激しく鼓動する。この感覚は大量に薬を投与された時に起きる症状と似ており、夢の中でもソラを激しく苦しめた。身体が崩れ落ち、血の海の中に身を沈める。この時、ハッキリと悟る。現実の世界で何か重大なトラブルが発生しているということを――