エターナル・フロンティア~前編~
「あっさりしているな」
『本音よ』
しかしタツキが言う言葉の意味は、わからないわけではない。いや、それ以前にユアンが今まで我慢していた方が凄い。
『権力が集中するわ』
「……厄介だ」
『そうね』
ジェイクが殺害されたことにより、タツキが指摘しているように権力が集中してしまう。これによりいい方向に物事が進めばいいのだが、この世界でそれを考える方が間違っている。
何が起こるのか――
クリスは、その点を危惧する。
だが、高い地位にいるわけではないクリスがあれこれ考えたところで、全てが改善するわけではない。結局は上の者の命令に従い流れに乗るしかないのだが、これはこれで満足しているという。
『教えてくれ、有難う』
「いや、知っている相手だろう」
『……ええ』
「だからだ」
しんみりとした会話を続けていた時、クリスは人の気配を感じ取り慌てて携帯電話を隠す。
「何をしている」
「いえ、別に……」
「誰に電話していた」
「い、いや……それは……」
慌てて携帯電話を隠したことを目撃されたらしく、相手が怪しい視線を向けてくる。その視線にクリスは、内心「しまった」と、思う。タツキに情報を渡していると知られたら、この世界にいることはできない。最悪の場合、抹殺される可能性もあるので、クリスの顔色が悪くなっていく。
「ああ、彼女か」
「えっ!?」
「隠すな」
何を勘違いしたのか、クリスの電話口の相手が彼女と勝手に決め付ける。相手はニヤニヤとした表情を作りクリスに近付いてくると、仕事中の私用電話は程々にするようにと忠告する。そして、一言「頑張れ」と言い残し、ひらひらと手を振りつつ立ち去っていくのだった。