エターナル・フロンティア~前編~

 同じ。

 呟いた言葉が、過去を思い出させる。

 今ユアンを非難しているタツキも、同等のことを行なっていた。両手を血で濡らし、多くの悲鳴を聞いた。

 命を落とした者も、何人も知っている。裏の世界で生きていた――それは消せない過去である。

(償い……ね)

 自分がしてきたことを理解し、償いの為に今を生きている。そして、引き返せる時に引き返した。

 その結果が、今に至る。

 だが、ユアンは引き返すことはしない。彼の場合、行ける場所まで行くに違いない。あの時から、それを望んでいた。

(本当に……)

 出発地点が同じであっても、向かった先はそれぞれ違う。タツキは携帯電話に視線を落としつつ、自分が今行なうべき内容を改めて確認するかのように、一言「決別ね」と、呟いていた。


◇◆◇◆◇◆


 ソラは夢を見ていた。

 それは、幼い頃の物語。

 古めかしい振子時計が、時を告げる。その音は薄暗い部屋に響き渡り、ソラの鼓動を早めた。

 時刻は、12時。

 しかし、両親の声が響く。

 ソラは両親の声が耳に届かないように、スッポリと毛布を被ってしまう。それでも両親のやり取りが聞こえ、徐々に呼吸を荒くしていく。

 両親の会話の内容は知っている。その話の中心となっているのが、自分ということもわかっている。普段から両親は、ソラの将来について語り合っている。だが今日は、状況が違う。

 不安感を感じ取ったソラはベッドから抜け出すと、自室から廊下に出て階段の側まで行く。

 其処から覗き込む形で1階の状況を確認すると、ダイニングから明かりが漏れていることに気付く。両親は夕食の時からギスギスとしており、不穏な空気を漂わせていた。特に母親はソラに厳しく当たり、何度も罵声を浴びせた。それは深い傷となり、ソラの心を抉る。
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