エターナル・フロンティア~前編~
それなら、ネットを利用し調べればいい。この時代ネットを利用すれば、あらゆる情報を簡単に習得することができる。勿論、いい情報も悪い情報も存在する。ある意味、恐ろしい空間だ。
ソラは両手で掴んでいる子犬を自身の腹の上に乗せると、利き手で子犬の身体を優しく撫でる。ソラに撫でられていることに子犬は目を細め、気持ちよくしている。その時、ソラの腕に点滴の針が刺されていることに気付くと、何を思ったのか点滴の針を抜こうと噛み付いた。
「お、お前」
今、針を抜かれるわけにはいかない。急いで子犬の身体を取り押さえると、このようなことをしてはいけないと注意を行なう。
はじめての躾は、思った以上に効果があった。ソラに注意されたことが相当堪えたのか、子犬は両耳を垂らすと切ない声音で鳴きソラの腹の上で座り込んだ。
「そういえば、こいつの名前は?」
「名前は……まだ」
「考えていないのか」
「生き物を飼うのは、はじめてです」
「名前をつけると愛着が湧くという」
「詳しいですね」
「聞いた話だ」
名前以外興味が湧かないのだろう、言い方が何処か素っ気無い。ただ不適な笑みを浮かべ、子犬に視線を向けている。
ユアンに子犬の名前を指摘されたソラは、どのような名前を付ければいいか真剣に悩む。一般的に、どのような名前が多いのか。これもまたネットで検索すれば簡単だが、ユアンが言う「愛着」が湧かない。
それなら、何がいいか――
ふと、いい名前が思い付く。この名前は創作の名前ではなく、ソラが暮らしていた惑星(ほし)に伝わる神話に登場する人物だ。
名前は、リオル。
勇者と呼ばれる男の名前だ。
神話に登場する勇者のように強く逞しく、そして元気いっぱいに育って欲しいのでこの名前を付ける。
「……リオル」
そう呟いた名前に、リオルと名付けた子犬の垂れていた両耳が立ち上がる。「リオル」という単語が自分の名前だと気付いたのだろう、リオルは千切れんばかりに尻尾を振るとソラの手に擦り寄った。その時、間延びした音が響き渡る。音の発生源は、リオルの腹。どうやら、腹が減ったようだ。