エターナル・フロンティア~前編~
その結果、一番被害を受けた人物がリオルの餌を持って来る役割を担った。何とも、運がない人物か――ユアンは男の不運を同情するが、相手は全ての面で不運ではないと言い訳する。
確かに、相手が言っている言葉は正しい。優秀とまではいかないが仕事は真面目に行ない、それなりの実績を出している。その人物がジャンケンに負けたとはいえ、リオルの餌を持って来た。
普通「嫌々」という雰囲気が前面に出ているものだが、この者からは「嫌々」という雰囲気が感じられない。これも仕事の一環と捉えているのか、このような点でも真面目な性格が表れていた。
しかし、言葉で彼を評価することはしない。別にソラの目の前で相手を評価するのが恥ずかしいというわけではないが、彼もリオルが弱っているのを知っているので其方を優先する。
リオルの餌を受け取ったユアンは、それをソラの目の前に差し出す。プラスチック容器に容れられているのは肉を主体とした食べ物なのか、今まで嗅いだことのない食べ物であった。
何か怪しい食べ物をリオルに食させるのではないかと心配するソラであったが、ユアン曰く、これはドックフードと呼ばれている食べ物だと説明する。また、普通に店で販売していると知る。
「はじめて見た」
「普通、生き物を飼わないと買わない」
「肉?」
「そうだ」
どのような肉を使用しているかは、この際どうでもいい。ソラはリオルの前にドックフードがいれられた容器を目の前に差し出すと、身体を撫でこれを食べるように促す。最初リオルもこの食べ物を警戒していたのか、鼻をヒクヒクと動かしドックフードの匂いを確かめる。
すると食べられる物と判断したのか、ドックフードに顔を埋めるようにしてバクバクと食べはじめた。
「やはり、特定の人物以外駄目か」
「……そのようで」
「しかし、汚い食べ方だ」
ユアンが指摘するように、リオルの食べ方は正直言って綺麗なものではない。周囲にドックフードを飛ばし、尚且つ顔全体がドックフードの油でベタベタ。
しかし本人は気にしていないのだろう、物凄い勢いで胃袋の中に納めていく。更に差し出された量が少なかったのか「もっと欲しい」と訴えるかのように、ドックフードがなくなった容器を綺麗に舐めている。